第8話

——夢に現を抜かしておった。


路上のタイルに枯れた落ち葉が募りける。


墓石に私の喪服は如何ばかり、華やかに見栄えるだろうか。

日傘は白く、遺灰の如き灰の空。

黒い布越しの貴方と同じ灰の色。


貴方が好きな赤いガーベラは、私と同じ名前を持って。

貴方は私を好いていたのか。それとも花の花弁を愛でていたのか。


もはや問うても答えまい。


ああ、愛しき私の貴方。

人の因果と解かっていても、やはり無情を赦せはしない。



もう彼も、私の背後に現れない。


あれから山も三月ほどには色を変え——、



——この木枯らしも、そろそろ終わりを……告げるのだから。

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木枯らしの魔女。 紙季与三郎 @shiki0756

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