ビッグブラザー

いちごソーダ

第1話 見えない彼女

「起きろー朝だぞー」

俺、池谷一、19歳。身長188cm。体重75キロ程。あだ名はハジ。会社員。高校卒業後、食品工場で働いてる。新人なので業務内容覚えるのに奮闘中。でも先輩、上司はみんないい人たちで毎日仕事は楽しい。家族は8人いる。でも母はいない。俺が小学1年生の頃、母さんが出ていった。何故だかわからない。その後、親父は再婚し4人の弟ができた。あっそういえば、家族構成の話してなかったね。俺には弟が7人いる。


まず、次男の竜二、高校2年。チャラい。一時期ぐれたが、何とか更生し高校に通っている。俺と違って陽キャでいつも周りに女がいるタイプ。多分同じクラスにいたら関わらないタイプ笑。家族のムードメーカー。


続いて、三男の三彦、中学3年。アニメオタク。恋愛対象は2次元。縁無しメガネをかけ、独り言が多い。何考えてるのかわからない時があるが、弟思いなところがある。


四男の翔太。中学1年。成績優秀。真面目。三彦と同じくメガネかけてる。ちょっと堅いが家族の中で1番頭が良い。しっかり者。


五男の五郎。小学5年。身長140cm、体重70キロ。漫画に出てくるようなデブキャラ。食べることが生きがいで、毎朝必ず給食の献立を覚えて登校する。


6男、7男の睦月と那月。小学3年。一卵性双生児。2人はとても仲良し。顔も声も全く一緒で正直家族の俺も時々間違えることがある。


最後に8男。隼人。小学1年。池谷家の末っ子。身体は小さい方だが、翔太と同様、しっかり者。口達者。俺と隼人は計算してくれればわかるが、歳は一回り離れている。


そんなこんなで俺には7人の弟がいる。みんな個性的で面白い。仲も良い方。子どもだけで毎年旅行も行く。だが、こんな俺ら池谷兄弟は複雑な関係でもあったりする。俺、龍二、三彦、翔太は父さんの前妻との子どもだ。

あとの残りの弟たちは父さんの次の妻との子ども。そう、俺、龍二、三彦、翔太と五郎、睦月、那月は腹違いの兄弟関係にあたる。ごめん、隼人だけは違った。隼人本人には言ってないが、彼だけ血縁関係がない。そう、彼は養子である。生後三ヶ月で乳児院に入れられて、父さんと義理母が引き取った子。隼人自身はこの事は知らないというか隼人が成人するまで言ってはいけないと父さんに言われている。でも俺らはかけがえのない関係。そんな中で父さんは睦月、那月が3歳の頃また離婚した。これも理由はわからない。



弟たちが学校に行ったあと俺は掃除機をかけてた。今日、仕事は休み。俺たち家族は築100年ある中古の民家に住んでいる。隼人が家族の一員になった頃に引っ越しをした。通称、化け屋敷。引っ越してきた当初、怖かったがもう慣れたもんだ。

話が変わるが、最近寝ていない。家事と仕事の両立が出来なくて日々の疲れがひどい。御座敷の障子の枠を拭いてる時、突然目眩がした。その瞬間、俺は気を失った。


暑いな…この部屋…。


「ちょっと!大丈夫?」


誰かの声がした。しかも若い女性の声。俺の家、男しかいないはずなのに…。


「ねえってば!!」


俺はふと目を覚ました。その瞬間、何故か寒気がした。さっきまで暑かったのに。俺の真上に白いワンピースの16、7歳くらいの可愛らしい女性が見下してた。俺はとてもびっくりして、声が出なかった。女性は「ごめん、驚かして。変なものではないです。私、前にこの家に住んでいたのもです。いつも元気な貴方が倒れているからついびっくりして声かけちゃったの。」

俺は「はぁ…」と答えた。てか、不法侵入じゃんと思った。

女性はまた口を開き「一くん、私のこと見えるんだね。」と放った。

俺は意味がわからなかった。頭がおかしい人が不法侵入してきたなと。てか何で俺の名前知ってるの。ついに俺は「いくら前の住人でも、これは不法侵入ですよ。悪ふざけはやめてください。意味がわからない。てか何で名前知ってんの。」と答えた。しかし女性は大きな黒目をまん丸にして「あー勘違いしないで!じゃあこれはどうかな。貴方の名前は池谷一、19歳。5月3日生まれの牡牛座。血液型はA型。思いやり乳業に勤めていて、弟が7人いる。好きな食べ物クリームコロッケ。4ヶ月前まで彼女はいたが、クラスの坂田と浮気されて別れた。どう?」


正解だよ。何もかも当たっている。怖い。

「一体何なんですか。女性だからといって許しませんよ。警察呼びますよ。」と俺は言った。その時、女性は俺の手を掴もうとした。その瞬間、彼女の身体は透けていることに気がついた。俺は思わず「幽霊?」と言ってしまった。


「やっとわかってもらえた。実はそう。もう私は死んでるの。生前からこの家に住んでるのよ。貴方たちより先にね。」


彼女はそう言い放った。


俺はまた気を失った。






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