日本から独立したグンマというキャッチーな世界設定。そして読み手を惹きつける軽快な文体に、冒頭から楽しませていただきました。
主人公・壮介はグンマの国立水族館でペンギンの世話をしており、そこでペンギンのスケッチを描きにきたヒロイン・相内さんと出会うところから、この物語は始まります。
壮介と相内さんとの間のラブコメ的な要素や、おしゃべりができるエンペラーペンギン・ペンスケというファンタジーな要素も本作の大きな魅力ですが、本作のカテゴリはあくまでミステリーです。
独特な世界の中で、水族館やクラゲを飼育している主人公の自宅、また相内さんの通う芸術大学など、場面が目まぐるしく変わり、どこで事件が起きるのかと想像しながら読むのはワクワクしました。そして遂に姿を現したのは密室殺人事件です!
探偵役を務める壮介の推理は小出しにされ、最後の最後まで目が離せません。
また所々で披露される水族館やペンギンの生態についての豊富な知識も楽しかったです。続編を期待しています。
ごく普通の水族館職員である壮介。普通でないことといえば、本作が東日本がグンマを首都として独立したという世界観であること。それと、壮介の担当するエンペラーペンギンのペンスケが、人語を解するということくらいでしょうか。
というわけで、多少変わった設定や存在もありますが、だからといって壮大な冒険ファンタジーが幕を開けるわけではありません。そもそも本作のジャンルはミステリー。ミステリーたるもの、多少のファンタジーはあっても、何でもありになりすぎてはいけません。
ある日、水族館を訪ねてきた一人の芸大生、相内さん。壮介は、彼女の制作に協力することになるのですが、彼女の通う大学で事件発生。一介の水族館職員であるにも関わらず、色々あって壮介が探偵役に。
そんな、歴としたミステリーなのです。
そして、そんなミステリー部分と並ぶ本作の魅力が、壮介と相内さんとの掛け合い。
職員とお客さんという関係から始まりますが、そこは男と女。だんだんと距離が縮まり、これからどうなるのとニヤニヤしながら見守らずにはいられません。これまでさんざんミステリーミステリー言ってきましたが、この二人のラブコメとして見ても面白いのです。
事件の真相と二人の行方。両方の意味でドキドキすること間違いなしです。
グンマが日本から独立した架空の世界を舞台に描かれるミステリー。
水族館で働く青年壮介は、喋ることができるペンギン、ペンスケのお世話をする毎日を送っていた。
そんな彼の前に現れたのが、芸大生の女の子、相内さん。何度も水族館に通う彼女とだんだんと親しくなっていって、時にペンスケに冷やかされながら仲を深めていく壮介。
時に拗ねたような、時に意地悪するような相内さんとの会話が可愛くて、読んでいて何度もキュンとさせられました。
アンタら、早くゴールインしてしまえ!
しかし、わすれてはいけないのが、本作はミステリーであること。
ある日相内さんの通う学校で密室殺人かもしれない事件が起こり、何故か壮介が事件の真相を推理するはめに。
警察でも探偵でもないペンギン飼育員が挑むミステリー。
はたして壮介は、事件の謎が解けるのか? そして相内さんとの恋の行方は?
事件のと恋の、ダブルでハラハラドキドキさせられました。