第2話アルバイトと帰り道

「アルバイトをしたら視野が広がりますよ」

そう後輩に誘われ後輩のおじさんの定食屋でアルバイトを始めて1ヶ月経った。


今日も後輩のおじさんの定食屋で働いてる。

接客が仕事だ。

「ねえちゃんこっちも頼むよ」

「はい!」

「店員さんお会計をお願い」

「今行きます!」

とお店は活気に溢れて最初はとても大変だったが、

今はもう慣れてきた気がする。

後輩は厨房で料理を作るのを手伝っていて、ひと段落したら後輩が料理を作ってくれたがとても美味しく女子力で負けた気がした。


バイトがやっと終わり帰ろうとすると

もう8時だった。

帰ろうと歩き出すと先輩、送りますと後輩がついてきた。

そんな後輩の瞳でバイト初日を思い出す。

あの時も後輩は送ってくれて。


バイト初日でヘトヘトになりながら帰ろうと歩き出す。

「送りますよ。先輩」

「あぁ、ありがとう」

「先輩バイトどうでした?」楽しそうな表情で聞いてくる後輩。

「疲れた。本当に疲れたね。でも楽しかった」

「そうでしょう。死にたいなんて思えないぐらい楽しい人生にしてあげますよ」



そう言う後輩の瞳が星のようで思わず見惚れてしまったのは内緒だ。

あの頃に比べると仲良くなったな。1ヶ月も経ったからな

「僕が将来、恋人にしたかったことを先輩にやっていいですか?」

「いきなりだね」

きっと出来なくなってしまった普通の事を私でいいからやりたいのだろう。

「…いいよ。そのかわり私の人生楽しくして」後輩の終活を手伝おうと思った。何故かはわからないけど…そう思った。

「じゃあ先輩、週末空いてますか?」

「空いてるけど…なんで?」

「水族館いきましょう」

「…いいよ」


「いつも家まで送ってくれてありがとう」

「どういたしまして。じゃあまた明日」

「また明日」

後輩に手を振り玄関のドアを開ける。

家に入ると暗闇だ。ついていない灯りは誰もいないことだけを告げる。

「ただいま」

誰もいない家にそう、つぶやく。

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死にたがりの先輩と余命1年の後輩 @06ta24

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