ある夜の出来事

@Teacher2002

第1話 結婚指輪

 深夜23時45分。私は今、とあるコンビニの店長とその日の昼にそのコンビニのゴミ箱に出された燃えないゴミのゴミ袋を漁っている。

 10年間私の左手にくっついていた、結婚指輪がなくなったのだ。職場の帰りにコンビニに寄ったとき、ゴミと一緒に捨ててしまったような気がするのだ。だって、車からそこ以外に降りていないんだから、落としているはずがない。車の中はもちろん探した。iPhoneのライトを使って隅から隅まで探した。

 妻が寝ているすきに、そっと家を出てコンビニに来た。

 店員に事情を話すと、店長が出てきた。そして、おもむろに軍手を持ちだしてきて、なんと、一緒に探してくれ出した。

「こんな時間に見に来るなんてよほど大事なものなんだね」

「はい……」

 失ってはじめてわかる大切さがある。

 全部のゴミを見終わったが、結局、出てこなかった。

「こういうものは縁ですから。縁があればみつかります。」

 帰り際、コンビニの店員さんからこんなことを言われた。

 がっくり肩を落としながら、礼を述べ、ペットボトルのジュースを3本買って店において、車に乗った。


 左手が嫌に軽くなった。右手で左手の薬指を触る癖があることに気付いた。


 二日ほどして、ふと見ると、あれだけ探した、車の床に、指輪が落ちていた。

 また縁がつながったんだと思った。

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