ショートショート的な切れ味が小気味よい

 とある殺し屋さんの、お仕事のやり方とポリシーにまつわる、独白調のお話。
 タイトルそのままの現代ドラマ、あるいはショートショート的な物語です。テンポよく進む独白調の文章が楽しいのと、その内容の具体性が面白い。なんだかお仕事小説みたいな説得力があって、ついつい興味を惹きつけられてしまいます。
 約5,000文字と非常にコンパクトな中で、スッキリ綺麗にまとまった小咄のような構成。展開の切れ味が心地よいのですけれど、その中で入れ替わり立ち替わり登場する人物たちの、個性というか人間模様が個人的に好きです。もちろん、各人を仔細に掘り下げることはないのですけれど、でもドライな殺し屋の視点から眺める人々の、その「人間いろいろいる」感の面白さ。
 お話のパッケージそのものは、殺し屋というシチュエーションを前提したショートショート。しかしながら、その実、さりげなく(でもきっちり)人間のドラマを捉えてもいる、シンプルながらも切れ味の鋭い小品でした。読み手を惹きつけ先を気にさせる語りの巧みさが大好き!