甘く輝く星たちの観測日記

湊谷愛澄

観測日記

-2020年 7月26日

 この日私たちは輝く6つの星に出会う。

1つ目は緑色でピンク色の星。この星は他の星たちを引っ張るように先頭に立ち先導していた。異名は王様。

2つ目はオレンジ色の星。常に笑いを忘れず、ピンク色の星の隣に佇むその姿は皆の兄貴のようだ。

3つ目は紫色の星。この星は前2つの星の少し後ろにあった。時に妖艶に時に幼く、時に官能的に輝いている。

 そこに合流してくる残り3つ。

4つ目は黄色の星。ハイパーロックに輝くこの星は、人一倍優しく、努力を惜しまぬ星である。

5つ目は赤色の星。一国の王子でもあるこの星は、2枚目と言いながらその実3枚目成分が強く、しかし事前準備の鬼である。

6つ目の青色の星。この星は負けず嫌いで、よく黄色の星と戯れあっていた。しかし、高い歌唱力を持ち、そしてあざとさがある。


これはその星たちの観測日記である。



-2020年8月5日

 彼らの詳しい情報を観測。既に知られていた先3つの星は情報の再認識。後3つは新情報解禁となった。3つの星たちの生まれた日付、身長などがわかった。黄色の星は小さいが高音域が得意であること。赤い星は2枚目でいたいがどうしても3枚目が顔をのぞかせていた。青い星は観測当初、猫をかぶっていたようだ。今と印象がまるで違う。この頃はあざとさが優っていた。


-2020年8月7日

 彼らが動く姿を観測。本格的に彼らがリアルタイムで喋り、動く姿は観測するのはこの日が初めてであった。この日よりも前に何度か観測されたことはあったが、その時よりも長く現実的かつ同じ時を過ごしていることを感じさせる瞬間はこの日が初めてだろう。


-2020年9月4日

 黄、赤、青の星の1ヶ月記念の観測。彼らは「せカい」という名前を組み新しい星座を作った。この3つのみを観測したのは初めてである。これから輝きをますであろう彼らを見るのが楽しみだ。


-2020年9月9日

 彼らは川釣りへと出かけた。釣り堀で大きい声を張り、ギターを持ち、機材を立てて釣りをする姿は周りから見ればカオスであったとのちに語られた。


-2020年9月30日

 ピンク色の星の星誕日。この日に重大な発表があった。12月13日に彼らが一段と輝きをます予言である。


-2020年11月6〜8日

 禊と称したゲーム耐久を観測。目標であった666キルを達成するまで数々の伝説が残る観測であった。


-2020年11月22日

 赤色の星の星誕日。この週は数々の伝説が生まれた。彼のために作られた「the理狩り」は今もなお伝説となり残っている。


-2020年11月24日

 観測者に衝撃の事実が告げられる。

12月13日をもって紫の星が別の軌道を辿ること。そして3月31日をもって私たちが観測できぬ場所へ軌道を変えること。これらは私たちにさまざまな感情を生ませた。


-2020年12月13日

 彼らが1番光り輝いた日だろう。彼らが見せた約2時間の夢は今も脳裏に焼き付き忘れることはない。キラキラと輝くアイドル姿の彼らに私たちは魅せられ時を忘れ楽しんだ。

 そしてこの日、紫の星は少しだけ軌道を離れた。


-2021年1月10日

 青色の星の星誕日。「俺の時だけみんなが集まってくれなかった」と拗ねていたが、同日観測された歌はとても可愛らしいものであった。


-2021年2月21日

 オレンジ色と紫色の星、通称「METEO」が最初で最後のオリジナル曲を発売した。彼ららしい楽曲は今も私たちの中で流れ続けている。


-2021年3月31日

 紫色の星が私たちから見えぬ軌道へ入った。とても悲しく苦しく辛いことだ。しかし、同じ空の下で生きている。いつかまた見つけられる日は来る。


-2021年4月9日

 2度目の重大な発表。彼らもまた軌道を離れてゆくという。しかし、彼らは言った。

「また会える」


-2021年4月15日

 黄色の星の星誕日。彼らの最後の星誕日になってしまった。それゆえにかつてないほど盛り上がったと言えるだろう。そして様々な方面で観測者たちは死ぬこととなった。黄色の星を舐めてはいけなかった。


-2021年4月24・25日

 彼らが行う最後の長時間観測の日。ここでもまた様々な伝説を観測することとなった。

私たちは寝ずに観測を続け、最後には爆弾ともいえる大切なものをもらった。待ちに待ち続けた彼らのオリジナル曲である。観測者によっては込み上げてくるものが違うだろう。それでもこの曲が大切であるという気持ちに変わりはない。


-2021年4月28日。

 彼らが軌道を離れる日。

最後の観測日となったこの日は、想像していたよりも彼ららしい最後となった。悲しさはある、辛さもある、マイナス的な感情がないわけはない。しかしそれでも彼らは言った。

「また会えるから。すぐ見つけられるから」

その言葉に含まれる夢、希望、それらは私たちに大きな期待を与えてくれた。

 緑色(ピンク色)の星は斬新な葬式を行い、紫色の星を含め爆破…いや、ちゃんとした念仏と共に成仏へと導いた。……が、成仏しきれぬ魂がいたとかいなかったとか。



 ここで観測日記は止まっている。

”第1章 完“といったところか。しかし、これは終わりではない。

 彼らが向かった新しい軌道。その軌道を進めば明るい未来がたくさんあることだろう。そしてまた、私たちにさらに甘くさらに輝く夢を見せてくれると信じている。


これは第1章のエピローグであり、第2章のプロローグだ。

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