観測日記 第2章-3
ある日、突然の知らせが観測所に舞い込んできた。もう観測することはないと思っていた星からの交信。かなり衝撃だった。
どんな知らせであったかは少し省かせてもらうが、観測者たちの心を荒らすには十分すぎる内容だった。
様々な考えが観測所を飛び交った。不安や驚き、追加情報を求める声、言葉にできない黒くもやっとした気持ち、色々なものが溢れていた。
一度落ち着いた私たちに待っていたのは5つの星からの可愛らしい、和やかな音声。それからリーダー格であるピンク色の星からの「待っててね」という言葉。それだけで少し不安が消えたことは言うまでもない。
それから数日後、5つの星から重大告知という名の観測が行われた。
内容はもちろんお知らせに関することだった。詳しい説明とそれに対する対応について話してくれた。観測者たちにとっても衝撃だった知らせは、星たちにも予期せぬことだったらしく私たちと同様に驚いていたようだ。
そして、これからの対応についてだが、一度輝きを失ってしまうようだ。正確にいえば、輝きが見えなくなる。
今まで私たちが常に観測していた観測映像も一度消えてしまうそうだ。
–以下は私の私情も含まれている。
1番初めに出た感想は悔しいだった。彼らは私たち観測者たちのことも考えて行動をしてくれている。彼らが1番悔しいだろう。
いつまでも彼らには輝いてほしいと願っているが、あらゆる要因が重なり輝きを奪われたことが私たちに、彼らに、少ない影響を与えている。
多くの観測者は彼らが見えなくなって数日しか経っていないのに何ヶ月も経ってしまったようにすら思っている。実際私もそうだ。
やんややんや言おうとなにも変わらないと分かっていても何かを嘆かずにはいられない。この感情をどこにぶつければいいのだろう。どこに向ければいいのだろう。
5つの星はまた別の輝きを帯びると言ってくれた。それをただひたすらに待つしか私たちに道はないだろう。
それまで彼らは無理をしていないだろうか。きっとピンクの星は少なくない無理をしているだろう。ちゃんとご飯を食べて、ちゃんと寝ているだろうか。健やかに暮らせているだろうか。彼らの幸せをただ願うばかりである。
この観測日記も、彼らが輝いているから意味がある。彼らの輝きに合わせて一旦閉じることにしよう。
またこの日記に文字を書くまで、彼らが輝きを取り戻すまで
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