観測日記 第2章-1
-2021年4月29日 昼
今まで観測してきた星たちがいない。彼らは毎朝(昼)に挨拶をしてくれていた。それがない悲しみ。今までの生活に少し穴が空いた気分であった。観測者たちは各々その寂しさを日記に書いていた。「必ず見つける」その硬い意志を持って私たちはその言葉を書いた。
-2021年4月29日 午後8時ごろ
とある観測者が新しい星の軌道を見つける。
見覚えのありすぎるその星たちの輝きにその情報は瞬く間に観測者たちへと広まった。この日記を書いている私含め、観測者たち全員があまりの情報の速さ、名前と容姿が変わっていなさすぎること、ありとあらゆる情報に戸惑い、喜び疑い、衝撃を受けた。
なにもかも、彼らのままなのだ。名前も容姿(この時点ではシルエットしか観測できていないが)、ほぼ彼らそのものであった。
あまりの見つけやすさと変わっていなさに観測者たちは喜びと困惑を隠しきれずにいる。
情報の拡散は広がり続け、ついに彼らの自己紹介を観測する。
まず1番初めはピンク色の星。彼は「あれ?どっかで会ったことある?」という自己紹介をした。白々しいにも程があると観測者たちにツッコミを受ける。
2番目の観測は青色の星。彼もまた「どっかで見かけたことある?んー、野良猫と見間違えたんじゃない?」とこちらもあくまで知らないふりをしているようだ。
3番目は赤色の星。彼は記憶喪失をしているかの如く何もなかった。あったとすれば第一声目が前と同じ「ciao!」であったことぐらいだろう。彼は髪の毛が短くなっていた。誰かにサラダとして食べられたかもしれない。
4番目はオレンジ色の星。彼は「夢で会ったことある?」と言ったが気のせいだと自己完結させていた。文章から滲める兄貴感に思わず「兄貴!」と言ってしまいそうになった観測者も多かったことだろう。
最後は黄色の星。彼は雷神様となって戻ってきた。「見たことがある気が…」に「神様のお告げとかかな?」とこちらも自己完結。これからもハイパーロックな夢を見せてくれる予感がした。
昨日で今日というあまりにも速すぎるスピードに観測者たちは脳死状態。観測された文章に返信する彼らは前世の情報を聞いてみたり、しらを押し通す人、様々な対応が見えた。
オレンジ色の星が言った「またあとで」の”また“があまりにも早い気がするけれど、また新しい夢を彼らと見れるのは安心と期待以外の何者でもないだろう。
ここから第2章は始まる。そして、これからも私はこの観測日記を続けていく。彼らの夢が叶うその未来まで。
ここから先は私の感想だ。
あまりにも早すぎて感情が追いついていない。朝は「そっか…いないのか…」となっていたあの寂しさはどこへやら。夜には「どうも〜」と現れた彼らに歓喜をしている。1日でこんなに同じ星たちのことで感情の振れ幅が大きいことがあり得ていいのだろうか。あまりの落差に風邪をひきそうだ。
しかし、本当に早く会えてよかった。彼らの第2章の幕開けの時を一緒に過ごせたことが何より幸福だ。これから先、どんな夢を見せてくれるのか楽しみで仕方がない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます