美しく年を重ねた老女の独白と、若かりしころの可憐な語り口に圧巻されます。時間の流れを見事に書き切っているのは、語りだけではありません。古きよき喫茶店の雰囲気や、あの頃ころならではの言葉が華を添えます。シワだらけのお婆ちゃんになっても、大切にしている思い出とは。作中のブルーノートの響きを確かめてください。
明子さんは霧深いプラットホームで列車を待っています。事故があってダイヤが乱れているとのこと。しかたないねえ、駅を出たところの喫茶店で列車を待つことに。そこに流れてきたのは、智昭さんが未完成で残していった曲。今頃明子さんはどうしているかな、孫がいたりするくらいか。