笑顔だけは可愛い長髪クズの博打打ちと、いろいろどんづまったガラの悪い博打打ちが、コンビを組んでなんかクソヤバい感じの「代打ち」に挑むお話。
麻雀小説です。それもかなりエンタメ寄りというか、異能あり、やたら癖の強い敵キャラあり、のありありルール。
こう書くとぶっ飛んだ作品のように思えるのですけれど、実のところ全然そんな気はしないというか、とてつもなく地に足のついた作品です。もとい、そう読まされます。この人物描写の堅実さ。なんて筆力。
内容の密度がすごいです。三万字に満たない分量でこんなに内容書き込めるものなの? 作中で何荘かしてるし、キャラいっぱい出てくるし、そのうえ主人公ふたりの魅力をみっちり書いてて、でもどこにも過不足がないのが凄まじい。驚きの安定感。普通に〝短編連作シリーズの第一話〟しててすごいです。これあと三、四話でしれっと文庫本になってるやつ。
具体的な手牌そのものを示すわけでもないのに、ちゃんとどういう状況で・何をやっていて・どうすごいのかがわかるところがテクニカルでした。主人公コンビが魅力的なので、きっと麻雀わかんなくても楽しいと思います。
大変面白い作品でした。ヒナガミさんかっこいいけど、やっぱりクサカベくんのキャラが好きです。クセ強いのにちゃんと視点保持者してるの素敵すぎる……。