イケメン目当てにはいったことのある喫茶店。一度行ったときには見当たらず、興味を失っていたけれど雨宿りにはいることになってしまった。今度は、いるにはいたイケメン。でも感じわるっ。過去と現在がリンクして、感じのわるかったイケメンはただのチャラいイケメンになります。そう言っていいのかな。
登場人物二人の対称的な性格から生み出されるコントラスト。 作者竹神チエ様の卓越した手腕によって、読者の心理はものの見事にアップダウンさせられます。 主人公の後ろ向きな後悔の念に、ダークな霧にもやっとさせられますが、最後には爽やかな風が吹いて雲散霧消。 それは雨上がりの初夏のように、爽快です。 ところどころ散見されるユニークな言葉選択も、隠れた見所です☆
「アコ姫」は囚われのお姫様。「勇者トモ」はそれを救いに行く。そしてハッピーエンド、二人は結ばれてめでたしめでたし。……けどそれは、「アコ姫」が高潔で優しい人物だったらの話。「アコ姫」は、そのことをずっと後悔していた。そして大学生になって、その告解の機会が与えられる。果たして「アコ姫」は無事に、「ごめんなさい」が言えるのかーーーー!?後半とってもキュンキュンです!
同じあらすじで別々の作者さんが物語を書く企画「筆致は物語を超えるか」に参加されている作品です。 この企画に皆勤で参加されている作者さまの本作は、やはり「さすが」という仕上がり。 お話の内容は読んで頂くこととして、私がオススメしたいのはキャラクタの造形と、瑞々しい表現方法です。 とくにキャラクタがいきいきしていて、それが物語を大きく引っ張ってくれます。 それがきっと、作者さまの高いリーダビリティを作り出していると拝察します。素晴らしい読みやすさ! 物語を書くお手本のような作品を、ぜひご賞味あれ!
立ち寄ったカフェで、幼い頃に体験した「苦い思い出」と対峙することになる、そんな偶然を切り取った短編小説。一度は経験したかも知れない、後ろめたい出来事に、主人公はどう向き合うのでしょうか。作者様の持ち前の感性を存分に発揮した「瑞々しい表現」がとても気持ち良いです。登場人物が体験した過去の出来事を、読者も追体験できます。おすすめです。