仕事が早く終わった帰り道。向かったのは、一部の人間の中で話題となっている、喫茶店「フィーネ(終わり)」。「思い出の曲はありますか?」マスターに尋ねられ、彼女は答える。それは、別れた恋人との思い出の曲だった。ちょっとずつズレていく半音(ブルーノート)。それを表すかのように、彼女の言動にも少しずつ違和感が出てきます。というか待って、よく考えたら最初からおかしい。と、また読み直します。その正体がわかった時、「なるほどなぁ」と、タグ欄を見直しました。
筆致企画に参加の作品です。共通のプロットがあるのですが、この作品は料理の仕方が個性派です。ジャズがとても似合う作品だなと思いました(たいしてジャズをしらん人間なのですが、知った気にさせる雰囲気がぷんぷんしてます)。ひっそりとあるカフェにやって来た主人公。なぜこの場所に来たのか。彼女がこの場所に来る意味とは……。作者さんの近況ノートに解説もあるので、全体の意味に気づくとさらにしびれる作品です。おすすめです。
とても読みやすく、筆力も高く、内容もまとめられている、ハイレベルな作品です。短編なのですぐ読めます。界隈で噂のカフェ。そこに訪れたマスターから最初に尋ねられたのは、「思い出の曲はありますか?」。漂う音色に、あの日々を思い出します。そしてあなたは知るでしょう。そのお店の名前の、真実の意味に。是非、作中に登場するBGMを再生(検索すればすぐにでます)しながら、あなたも極上の時間を味わってください。おすすめですよ。
なかなかこういうストーリーを書ける人はいないのではないかな、と思いました。特に台詞が素晴らしいので、ぜひ読んでみてください。選曲も良いです。そしてこの話、とても構成がうまくて、その点でも素晴らしいと思います。ここまでの物をこの短時間で……脱帽です。