第6話

 夏休み以降もずっと司とは連絡を取っていた。

 ただ、新年の挨拶を交わしたのは二日の夜のことだった。

 お互い親戚付き合いに忙しかったのだ。

 明けましておめでとう、の後に続いたのはお年玉貰えた? そんな問い。

 旅費には充分だと答えたら、俺もと返ってきた。

 三学期が始まるまであと一週間。

 それまでにわたし達は計画を遂行しなければならない。

 いつにしようか。カレンダーをぼんやり見ながら返信を待つ。

 すぐに返ってきたのは三日後はどうかという打診。

 否を唱える理由はない。

 バスの予約取れるかな。そんなことを云ったら、リターンとは逆方面だからきっと大丈夫だよと云われた。事実、司の手配でバスの座席はしっかりと確保された。

 折角の最期なのだからお気に入りの服を着て行こうと思った。

 学校には着て行ったことのない、多分親もわたしがこんな服を持っているなんて知らないであろう何ちゃってロリータ服だ。背中が編み上げになっているボルドー色のジャンパースカートに、首元がフリルになっているパフスリーブの生成りのブラウス。タイツは白地にトランプ柄。

 ジャンパースカートをパニエで膨らませれば、本格的ではないものの、それなりのロリータさんには見えるだろう。

 その上に普段着ている白のコートを羽織って、わたしは夕方から友達の家に泊まりに行ってくると家を出た。

 前と同じようにファーストフード店で時間を潰す。

 司は以前よりも早く待ち合わせ場所に現れた。

 司はコートを脱いだわたしの格好を可愛いと褒めてくれた。

 また司もコートの下は黒タートルにグレーのチェックのジャケット。それに黒いスキニージーンズという出で立ちがスマートで格好良かった。

「いよいよだな」

「だね」

 ポテトを齧りながら神妙な面持ちをしている高校生二人は周囲にどんな目で映っただろう。

 夜行バスに乗り込んで。今回司は薬を飲まなかった。

 代わりにサービスエリアに着く度にわたしを外へ連れ出して温かいココアやコーヒーを買ってくれた。

「ねぇひより」

「うん?」

「ソフトクリーム食べたくない?」

「食べたいの?」

「最期か、って思ったらさ。サービスエリアのソフトクリームって美味くない?」

 確かにサービスエリアのソフトクリームは美味しい。

 食べる、と頷いたら、司はやっぱりソフトクリームも奢ってくれた。

 寒い中で食べたソフトクリームのミルクの味は忘れられない。

 早朝に大阪に着いて、わたし達はどこかで時間を潰すこともなく夏休みに辿った道を歩んだ。

 まだ薄青い世界。吐息は白い。

 次第にざあざあと水音が大きくなってくる。

 あぁ、これでやっと解放されるんだな。

 そう思ったら胸が弾んだ。

 希求していた死がすぐ傍にある。

 胸が弾むのと同時に安堵感が身を包んだ。

 早朝だからか、人の気配はない。

 わたしは司から瓶に詰めてあった錠剤の半分をわたしのハンカチに盛った。

「いっぺんに飲むと吐くから。少しずつね」

 未開封の水のペットボトルを渡されて、頷く。

 そうしてわたしたちはゆっくりとその錠剤を胃に収めていった。

 薬慣れしていないからだろうか。半分と少しも飲んだらわたしは眠くなってきた。

 ふわり、ふわり、意識が浮つく。

 隣を見れば、ガリガリと錠剤を噛み砕きながら水を飲む司。その横顔には恍惚さえ滲んで見えた。

「……ひより、眠い?」

 少し遠い声に首を縦に振る。

 すると、手首に紐が巻き付けられた。

「寝ちゃってからじゃ遅いから」

「そーだね」

 ぼんやりした声で答えて笑う。

 ふわり、ふわり。何だか楽しい気分になってきた。

 へへへ、と紐の結び目を愛おしげに撫でてみる。

「ねぇ司くん」

「うん?」

「わたし達、恋人同士だって思われるかな?」

「……かもね」

 苦笑されて、嫌? なんてわたしらしくない発言。

「ひよりとなら、良いかな」

「……そっかぁ」

 わたしも多分、司とだったらそう思われても良いような気がした。

「そろそろ、行こうか」

 何処へ、なんていうのは野暮。

 水の中へ、に決まっている。

 司の呂律も少々怪しくなってきていた。

 靴のまま踏み入れた水は氷のように冷たくて、一瞬意識が醒める。

「ねぇ、そう云えば司くんは遺書書いてきた?」

 少しずつ深みまで歩みながら問えば、うんと返事。

「わたし、書いてくるの忘れちゃった……」

「別に、なくても困らないよ」

「……そうだね」

 俯いて、何気なく空いている方の手をポケットに突っ込んだら、何かが手に触れた。フォルムを指でなぞって、あ、と思う。

 それは終業式の日に灯から貰ったサンタのブーツだった。

 不意に正気に戻る。

 薬でふわふわしている、その端っこで理性が私の歩みを止めさせた。

「ひより?」

「……司くん」

 頭の中で、灯の声がリフレインした。

『存在理由だから』

 何それ。意味判んない。存在理由って何。

 あの時はそう思った。

 だけど、段々と深みに足を進めて行く内に、わたしは司の存在がわたしの存在を理由付けてくれている人になっていたのだと知った。

 この人を失いたくないと思った。

 完全なるエゴでしかないけれど。

 今心中したら、浮かばれない気がした。

 死が怖くなった訳じゃない。

 けれども、

「やっぱり、やめよ……」

 わたしはそう呟いて足を止めた。

「怖くなった?」

「違う」

「じゃあ、」

「死んで、欲しくない……」

「……」

「死にたいけど、死んで欲しくない……」

 身勝手だって判ってるけど。

 呟いたわたしに、司は目を細めて溜息を吐き出した。

 呆れられたのかと思ったそれは、違う意味での溜息だった。

「……俺も、死にたいけどひよりには死んで欲しくない……」

 お互い生地獄の中で毎日を送っていて、うんざりして。もう全部投げだそうって決めたのに。

 いざとなったら死んで欲しくない、って思ってる。

 淡々とした司の声音に、何だかホッとした。

「わたしたち、きっともう少し地獄を味合わないといけないんだ」

 まだ早いのかも知れない、って司の手を握ったら、やんわりと握り返された。

「俺たち、生きるの嫌なのにな」

「うん……」

「固執する必要なんてないのにな……」

「うん……」

「お互い、まだ納得出来るまで生きてないのかな」

「……多分、そうなんだと思う……」

 やっぱりやめよう、と。わたしが口にするより先に岸から慌てた声がした。

 バシャバシャと激しい水音。

 「何をやっているんだ!」

 男の人の声が鼓膜を打ったかと思ったら、わたしの意識は彼方に飛んでいった。

『存在理由だから』

 夢現に灯の声がした気がした。

 気が付いたら真っ白い世界に閉じ込められていた。

 シャ、とカーテンが開く音がして、目が醒めたのねと微笑んだのは多分看護師さんだ。

 詰まるところ、ここは病院か。

 看護師さんが顔を隠した後、ドクターコートを羽織った医者……なのだろう、がひと通りわたしの状態を確かめてからこっぴどくわたしを叱り付けた。

 司はもう目を醒ましているという。

 二人で帰すのは危険だから警察を呼んで親御さんに迎えに来てもらうと云われて、それだけは止めてくれと懇願した。

 わたしが隠してきた秘密が全部バレてしまいそうで怖かったからだ。

 お願いしますと泣いて縋って、わたしと司は病院の側にある交番の番号を聞き、東京の交番から電話を掛けるということでどうにか話がついた。

 所持金はまだ余っていたから、わたしと司は新幹線で東京に帰ることにした。

 お互い始終無言だった。

東京駅まであとふた駅、となったところで、漸く司が声を発した。

「今回は時期じゃなかったんだ……」

「…………」

「また、いつか計画を立てよう」

「……うん」

 その時わたしは確かに頷いたけど、その後司からメールが来ることはなくなった。

 すじこさんのメールも放置していたわたしは、冬休みが明けてからもうあの掲示板を見るのを辞めた。

 冬休みが明けるまで、わたしの頭の中ではしょっちゅう灯の声が響いていた。

 わたしの左腕のことを知っても咎めなかった彼女はわたしを大事な存在だと云った。

 どこが、どう?

 疑問は尽きないけれど、司と心中しようとした時わたしを現実に引き止めたのは確かに灯の声だった。

 友達じゃないけれど、大事な存在。

 意味が判らない。

 彼女にとって、わたしは何故そんな存在になっているのだろう。

 全く以て理解し兼ねることだった。

 訊いて確かめれば良いのだろう。

 けれどもその行為は知人の枠から一歩踏み込まなければならないような感じがして気後れした。

 暗澹たる気持ちで迎えた新学期。

 始業式の日に灯は学校に来なかった。

 次の日も、そのまた次の日も。一週間、灯は姿を現さなかった。

 特等席でお弁当を広げる一人の時間は至福の時だった。

 その筈だった、のに。

 明るい声が聞こえないことが何故だか不安になった。

 何となく、見捨てられてしまったような気がして。いや、そもそも学校へ来ていないのだから見捨てるも何もないのだけれど。

「…………」

 見捨てられる? 何だそれは? それじゃあまるでわたしが灯に裏切られたと感じているようではないか。

 違う。そうじゃない。わたしは灯のことをそんな風には思っていない。

 寧ろ構われずに済むようになって清々するではないか。

 理性ではそう思うのに、胸の奥は何だかもやもやした。

 それは恐らく灯がわたしに対して様々な疑問点を残しているからだろう。

 一月の終盤。担任から「黒井はまた暫く学校へは来ない」と通達があった。

 何で、と問うのはあまりにも愚かだ。

 灯は去年入院をして留年したのだから、また入院をする羽目にでもなったのだろう。

 だから何だ、という話。わたしには関係ない。

 そう。関係ないと、わたしは何故だか自分に云い聞かせなければならなかった。

 このまま灯はまた三学期に顔を出さずに終わるのだろうか。

 それはそれで胸の奥が重たくなった。

 灯が考えていた事が何ひとつ判らないままなのは座りが悪い。

 授業中、目に痛いくらいの青空をぼんやりと見詰めながら、わたしは灯に会いに行こうと思った。

 見舞いくらいは知人でも行くじゃないか、と建前をつけて。

 担任は渋りながらも灯が自宅療養ではなく病院に入院していることを教えてくれたし、病院の所在も教えてくれた。

 溜まっているプリント類を手渡すことを条件に。

 午前授業を終えた足で、わたしは灯が入院しているという病院へと向かった。遠過ぎるという訳ではなかったが、近くもない場所だった。

 受付で、ナースステーションで聞いた情報を頼りに灯が居る筈の病室を訪れた。

 四人部屋の病室。窓際右手のベッドがそうだと教えられた通り、カーテンが開かれていたそのスペースでは、灯が本を読んでいた。

「灯、さん」

 わたしの呼び掛けに、灯はハッとしたように顔を上げた。

「陽和ちゃんっ?」

 病室で迷惑にならない程度の声が驚きでいっぱいだった。

「何で陽和ちゃんがここに?」

 目をぱちくりさせている灯に、鞄から取り出したプリントの束を渡す。

「これ、届けに……」

「わざわざその為に……?」

「……」

 無言は肯定を示すことが多いが、この時ばかりは否定だった。

「……陽和ちゃん、時間ある?」

「……うん」

「ちょっと寒いけど、外行かない?」

「灯さんはそれで大丈夫なの」

「へーきへーき。寧ろ日光に当たらないとね」

 ジャージ姿の灯は脇に掛けてあったコートを羽織ってわたしの一歩先を歩いた。

 自販機で温かい飲み物を買って、中庭のベンチに腰を落とした。

「まさか陽和ちゃんが来てくれると思わなくてびっくりしたー」

 そうだね。わたしも今ここに居ることが不思議でならない。

「灯さん……学校は、」

「うーん、多分今学期はもう無理かな……」

 苦笑で肩を揺らす灯。

「また留年するの?」

「いやぁ、それも何だかなぁと思ってる」

「じゃあ高校辞めるの?」

 まるで詰問みたいだ。

 わたしのそれに、しかし灯は気にするようでもなく笑った。

「まだ誰にも云ってないけど。学校通信にしようかと思ってる」

 サラリとわたしにだけ明かされた灯の胸の裡。

「もう特等席は陽和ちゃんのものだけだよ」

 冗談めかす灯に、何だか無性に腹が立った。

「笑い事じゃ、ないでしょ」

「……うん、そうだね」

 また苦笑して肩を竦める灯。

「陽和ちゃんにもう会えなくなるのは寂しいな……」

 その、理由が知りたくてわたしは今ここに居る。

「てゆーかさ、陽和ちゃん」

 まだ未開封のココアのペットボトルを首元に押し当てながら、灯は小さな溜息を吐いた。

「やっぱり痛いよ」

 何のことだ、と首を傾げる。

「腕……陽和ちゃんの気持ち少しでも判るかなって思って一本だけ切ってみたけど、痛かったよ」

 その告白に、わたしは目の前を赤くした。

「何を、しているんですか!」

 腕を切っただと? しかもわたしの気持ちを理解しようとして?

 意味が判らない。何と馬鹿なことを。

「あー、やっぱり怒るよね」

「当たり前です!」

「でも陽和ちゃんの苦しさがどんなものなのか、知ってみたかったんだ」

 そんなもの、判る訳がないじゃないか。だってわたしと灯は別の人間だ。意思や感情をシンクロさせている訳じゃない。

「けど、ひとつだけ何となく判ったよ?」

「……何を、ですか」

「陽和ちゃんが、とにかく苦しいんだってこと」

 あんな痛いことを何度も繰り返すなんて、逆に凄いことだと灯は真面目な声になった。

「苦しくて、しんどくて、泣いてるんでしょ」

「泣いてなんか、ない」

 事実、涙は流していない。

「ねぇ、陽和ちゃん知ってる?」

「何、を?」

「涙と血液の基礎成分って同じなんだってさ」

 だから血を流すことは泣いていることと同義だよとやっぱり灯は真面目な声で呟いた。

「……灯さんは、」

「うん?」

「どうしてそこまでわたしに関わろうとするんですか」

 声が、ほんの少しだけ震えた。

「前にも云ったでしょ? 一目惚れしたって」

 一転して明るい声に、その意味が判らないんですと唇を噛む。

「一目惚れって何なんですか」

「んー……本当のことを云うと、一人で居る陽和ちゃんが可哀想だと思ったから」

「…………」

「だって女子高生なんて一生に一回しか出来ないんだよ? 青春を無駄にするのは勿体ないよ」

 それは一般的な女子高生生活を送れていない灯だから云える台詞なのだろう。

「でも、最初のキッカケはそれでも、一緒に居るようになってから陽和ちゃんのこと、本当に好きになっていった」

 あぁ、この子のこと大事にしたいな。守ってあげたいな。それはエゴだろうけれど、そう思うようになったんだと灯は続けた。

「夏にさ、海に行ったじゃん?」

「……うん」

「あの時、一緒に波に攫われたら良いのにな、ってちょっとだけ思ったんだ」

 馬鹿馬鹿しいでしょ、と笑う灯に、わたしは舌先を噛んでから苦々しく呟いた。

「わたし、冬休みに自殺しようとしに行った」

「……え?」

 目を丸くする灯を余所に、わたしはぽつぽつと言葉を紡ぐ。

「薬を飲んで、河に入って……滝壺に落ちる予定だった」

 それなのに、と湿ってもいない鼻を鳴らす。

「頭の中で響いた灯さんの声がそれを邪魔した」

「…………」

「ねぇ、存在理由が傍にあるってどういうこと?」

「…………寄り添いたい、ってこと、かな」

「どうして」

「守ってあげたいと思ったから」

「何で」

「一人は寂しいじゃん」

「…………」

「一人は、寂しいよ」

「灯さんは、寂しいの」

「そうだね。多分そう。だからきっと勝手に仲間にしたかったんだと思う」

 でも迷惑だったかな?

 苦笑いをする灯に対して、わたしは軽く俯いた。

「……わたしは、」

 レモンティーのペットボトルを握り締めながら呻くような声を出す。

「わたしは、灯さんのこと、信用してない……」

「うん」

「でも……」

「ん?」

「灯さんが居たから、死ねなかった」

「……それは、陽和ちゃんにとって良かったこと?」

 問われ、判らないと緩く首を左右に振る。

「自罰的になるなって云われても、そんなの無理だと思った」

 けれどと息を吸う。

「死ぬタイミングは今じゃないんだろうなと思わせたのは灯さんだった……」

「…………」

「ねぇ、灯さん」

「なに?」

「わたし、生きてて良いのかな」

 ゆっくりと顔を上げて灯を見詰めたら、灯はわたしの頭をそっと引き寄せ穏やかな声で云った。

「良いんだよ」

「…………」

「少なくとも、私は陽和ちゃんは生きていて欲しいよ」

 その言葉に、視界が僅かに揺らいだ。

「あなたが今生きていることがわたしにとっては嬉しい」

 もし陽和ちゃんに死ねと云う奴が居たら全身全霊を込めてそいつを詰ってやりたいくらいには、と灯は囁く。

「友達じゃなくても良い。けど、大事な人だと思うから……」

 それだけは間違いないから、と髪の毛に絡まった指先。

「陽和ちゃんは、もっと自分を大事にしてあげて」

「…………」

「陽和ちゃんか居なくなったら、私の居場所も多分なくなっちゃうから」

 そんなことはないだろう。そう云いたかったのに喉の奥が詰まった。

「灯さん……」

「なぁに?」

「わたしより先に死なないで下さい……」

「え、それは保証し兼ねるなぁ……」

「わたしは、」

 あぁ、気付いてしまった。

「わたしも、灯さんのこと、大事だと、思います……」

 だから、どうか死にたがりのわたしより先に死なないでくれと嘆願でもするようなわたしに、灯はぽんぽんとわたしの頭を撫でながら小さく笑った。

「私のこと、生きる意味にしてくれる?」

「はい……」

「じゃあ、善処しようか」

 くすくすと耳元で吐息が揺れる。

「多分、わたしは一生灯さんのこと、信用しないと思います」

「それで良いんだよ」

 寧ろ、だからこそ私たちの関係は長く続いていくんじゃないかな、と。

 そう諭すような灯の口振りに、わたしはそうかも知れませんね、と微かに笑った。

 

 灯はやっぱり通信制の高校に転校した。

 灯との連絡手段は古めかしく自宅の電話。

 季節ひとつ毎に会うような、そんなペースでわたしたちの時間は流れていった。

 自傷行為は次第となくなっていった。

 自罰的な意識が薄れた訳ではないけれども、また灯が同じことをするのではないかと恐れたからだ。

 灯が傷を付けるのは本意ではない。

 後々考えて、本当にわたしたちの関係は不思議なものだ。

 信用しないけれど、信頼し合っているような。

 そんな人と出会えたことを、わたしはきっと幸せだと思わなければならないだろう。

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ガラス越しのカタルシス 烏丸諒介 @crow4632

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