百合洗脳②
【宇花、幼稚園児】
幼稚園の帰り道、宇花は近所の男の子と手を繋ぎあって帰宅していた。
宇花は、その男の子が大好きだった。
夕暮れに染まりつつある、町が見渡せる小さな坂道まで来た時、ふいに男の子は立ち止まり宇花に言った。
「宇花にキスしてもいい?」
テレビか何かで見た、幼児の他愛ない言葉。
男の子が好きだった宇花が答える。
「うん、いいよ」
幼い宇花と男の子は、抱き合ってキスをした……それが宇花の初恋だった。
ふいに、記憶が乱れ。
男の子とキスをしている場面が早戻しされる。
幼稚園の帰り道、宇花は近所の女の子と手を繋いで帰宅していた。
宇花は、その女の子が大好きだった。
女の子が夕暮れの中で宇花に言った。
「宇花にキスしてもいい?」
女の子が好きだった宇花が答える。
「うん? いいよ?」
幼い宇花と女の子は、抱き合ってキスをした……それが宇花の初恋だった。
【宇花、小学高学年】
学校の放課後──バレンタインの日。
宇花は、教室に最後まで残っていたクラスメイトで意中の男の子に勇気を振り絞って近づくと。
ハート型チョコレートと添えた手紙を渡して急ぎ足で立ち去った。
手紙には一言『少年サッカー、頑張れ。また明日』とだけ書いてあった。
小学生の宇花には、それが好きな男の子に対する精一杯の恋心だった。
学校の放課後──バレンタインの日。
宇花は、教室に最後まで残っていたクラスメイトで意中の女の子に勇気を振り絞って近づくと。
ハート型のチョコレートと添えた手紙を渡して急ぎ足で立ち去った。
手紙には一言『少女テニス、頑張って。また明日』とだけ書いてあった。
小学生の宇花には、それが好きな女の子に対する、精一杯の恋心だった。
【宇花、中学生】
小雪が舞う大晦日──宇花は、好意を寄せていた男の子と近所の神社初詣で訪れていた。
賽銭箱の前で、両手を合わせる宇花と男子生徒。
手を合わせ終わってから宇花が言った。
「同じ共学高校に合格して、一緒に行けるといいね」
帰りに神社で売っていた、甘酒を一つ買って二人で仲良く同じ紙コップの甘酒を飲み合った。
小雪が舞う大晦日──宇花は、好意を寄せていた女の子と近所の神社初詣で訪れていた。
賽銭箱の前で、両手を合わせる宇花と女子生徒。
手を合わせ終わってから宇花が言った。
「同じ女子高校に合格して? 一緒に行けるといいね?」
帰りに神社で売っていた、甘酒を一つ買って。
宇花と女子生徒は二人で仲良く同じ紙コップの甘酒を飲み合った。
【宇花、高校生】
休みの日に宇花は、恋人の男子生徒とデートの途中に立ち寄った、公園のベンチで日向ぼっこをしていた。
宇花は寄り添う好きな男性の方に、頭を寄せる……宇花にとって幸せな時間だった。
宇花が呟く。
「愛している」
男性と見詰め合う宇花。目を閉じた宇花と男性が自然と唇を重ねる。
「んっ……ん」
甘いキスが終わった宇花は、目を開けて愛する男性の顔を見詰める。
男性も宇花の顔を見詰める──ふいに、男性の顔に霧がかかり。
男性の顔が女性の顔に変わる。
女性の顔は、羽美の顔をしていた。
微笑んだ宇花は、恋する目で恋人の女性──羽美に言った。
「好き……愛している」
恋人同士の宇花と羽美はベンチで、抱き合って、もう一度唇を重ねた。
【宇花が百合洗脳を受けている部屋】──羽美は、記憶の書き換えるがされている宇花の顔を見る。
ヘルメットの下に覗く宇花の口元は、洗脳開始時の恐怖の表情から。
悦の含まれた、笑みに変わってきていた。
恋する乙女の笑みを浮かべている宇花が呟く。
「はぁはぁ……羽美、羽美」
その言葉を聞いた羽美が、宇花に近づく。
「書き換え……終わったかな? 成功したかな?」
宇花に被せた洗脳ヘルメットを外す羽美。
ヘルメットの下から現れた宇花の表情は完全に、
羽美が宇花に質問する。
「宇花、答えて。あなたの好きなのは、男性? それとも女性? あたしのコトをどう思っている?」
脳内変換された宇花が答える。
「はぁはぁ……あたしが好きなのは……女性、羽美はあたしの恋人……愛している」
「可愛い、あたしも宇花が好きよ」
羽美は宇花の後ろ手をを縛っていたローブをほどいて、宇花を自由にするとキスをする。
宇花は、拒絶するコトなく羽美の……女性同士のキスを受け入れる。
「んっ……んっ……んんっ」
宇花との甘美なキスをした羽美は、宇花の手を握って椅子から立たせる。
「さあ、こっちに」
羽美は、隣の部屋に用意されたベットに宇花の手を引いて導く。
そのままの流れで、羽美は宇花をベットに押す倒すと。
もう一度唇を重ねた。
「んんっ……宇花……んんっ」
「んっ……羽美……さん……んんんっ」
女性同士で恋人になった二人は、着衣のまま互いの体を愛撫して……愛し合った。
【百合洗脳】~想い出は書き換えと共に~おわり
【百合洗脳】~想い出は書き換えと共に~ 楠本恵士 @67853-_-
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