絶妙なバランスのうえに成り立っている力作
- ★★★ Excellent!!!
奇抜なアイデアから生み出された、オリジナリティがあふれすぎている「異世界」の物語でありながら、読み手を置いてけぼりにしないように工夫された文章により、非常に読みやすい作品となっている。
作者はさぞかし苦労しただろうが、それに見合うクオリティの小説になっている(その質に対して評価が追いついていないのは、一読者として少しさみしい)。
特筆すべきは、固有名詞の選び方の巧みさである。この工夫により、ぐっと読みやすくなっているだけでなく、寓話的かつ神話的な雰囲気を作品に与えている。
その上で諸々のバランスをはかり、寓話的過ぎず、神話的になり過ぎない配慮もなされている。