仮性の人 ~火星に取り残された男、自家発電に励む~

椎名富比路@ツクールゲーム原案コン大賞

火星に取り残された男、自家発電に生きる

「2〇〇1年、記録者、マーク・ドピュッシー、と……」

 ビデオで自身の活動を記録して、もう五〇日目になる。


 私は火星に、一人取り残された。

 火星開拓スタッフの一員だったが、帰還の際に機材トラブルが発生し、置いていかれたのだ。

  

 でも私は植物学者なので、自給自足くらいはどうにかなっている。

『DA○H村』とか見ていたからね。

 


 芋だけではなく、コンニャクも開発できたのは、最高だった。

 コンニャクは、妻の好物だったなぁ。


 地球にいる妻と睦言をしなくて久しい。

 これなら、もっとスキンシップをすればよかった。

 向こうには、私なんかもう死んでいると思われているだろう。


「妻と、したい……」


 妻の柔肌を想像すると、自然とムラムラしてきた。 


 コンニャクを使わねば!

  

 そこで私は、別の意味での「開発」もやってみることに。


 板状コンニャクの間をパックリ切って、自分のS○NをINする。


「ほおお!」


 素晴らしい感触だ。

 ローションも最高じゃないか。

 クルーが残した乳液に、バレイショデンプンを混ぜて作ったものである。



 おっぱいマウスパットとかも用意しておいてよかった。


 これなら、ダッチワイフとかも作れるんじゃないか? 私は科学者だ。不可能はない。


 気がつけば賢者タイムを迎えていて、効率を考えてコンニャク素材の抱き枕を完成させていた。洗うのが凄く楽だ。

 


 ◇ * ◇ * ◇ * ◇

 


 一〇〇日目、私は無修正のビデオが見たくなって、地球とのコンタクトを試みた。

 残ったパーツをかき集めて、

 宇宙ステーションから通信が入った!


 やったぞ。これでX○IDEOSも見られる!


「開発」用のカップラーメンも用意しているんだ! 早く、早く繋がれ!


 通信に成功した、地球とのアクセスに成功したぞ。


「おおー。やっぱ日本のA○はひと味違うな~。しかも公式じゃないか。サンプルでもできがいいな~」



 ラーメンにS○Nを抜き差ししながら、私は腕立て伏せをする。



「おおおおお、きたきたきt」

 


 

『おいこちらヒューストン! マーク、生きているか? マーク!』

 

 

「はう~~~。はあ、はあ……」


 なんだよ。私の親友じゃないか。「自家発電」中に割り込むなんて無粋なヤツだ。


 腰をガクガクさせながら、私はどうにか友人に近況を報告した……。



 ◇ * ◇ * ◇ * ◇



 その頃、ヒューストン基地では……。

 


「大変だ。なんということだ。マークが生きていたのはうれしいが、虫の息だったじゃないか!」

「もう体力の限界なんだ! 水も食糧も尽きている頃だろう」


 クルーたちは、マークが死の淵に瀕していると本気で思い込んでいた。

 

「わーん。あなたー」


 子どもを抱えながら、マークの妻が嗚咽を漏らす。


 マーク救出作戦は急ピッチで進められ、すぐさま救助スタッフが招集された。

 

「奥さん、我々クルーが必ずご主人を救い出します!」


 シャトルに乗り込んだスタッフが、マークの妻に笑顔で呼びかける。


「幸い、定期的に通信もできているので!」

「しかし、ノイズが多いな。アクセスが困難だ」


 クルーは、みんな心配をしていた。唯一の女性乗組員だった、カレンを除いて。


「裏ビデオでも見てるんじゃないの? あいつ、船でもあたしのケツばっかり見ていたし」


「奥さんの前で下品だぞカレン」


「冗談よ。それだけ性欲が強いなら、活力に溢れているって証拠でしょ?」

「だな! 奥さんご安心を。一ヶ月後に火星に到着しますので」

 

 

   ◇ * ◇ * ◇ * ◇ 



この間は邪魔されたが、地球とのアクセスが可能になったおかげで、私は「おかず」に困らなくなった。

『自家発電による発電』を可能にする装置も開発し、生活はより快適になっていく。

 地球にいたときよりも充実しているぞ!

 



 もうすぐ、仲間が助けに来てくれる。


 この孤独な戦いも、終わりを迎えるのだ。


「最後を飾るのは、やはり日本のアニメーションだな!」


 こんな過激な内容が、地上波で放送しているだと!

 

 さすが、日本のアニメは未来に生きているな! ふう……。


「うおおお、これは捗るぞふおおお!」


「マーク、助けに来たぞ!」


 唐突に、火星基地のハッチが開く。


「待ってくれ今開けたらンアー!」


      ◇ * ◇ * ◇ * ◇



 その後、彼は地球へと無事に帰還した。


 しかし、全世界に痴態を晒したことで、ネット上では

仮性の人○スター○○○○○ マン

 との伝説を残し、揶揄されている。

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