障魔時空 突撃艦『空我』
関谷光太郎
第1話
突如、人類の
いち早くその予兆をとらえていた複数の国家が協調して、人類防衛機関『
その名は『
変質を
迫る地球の滅亡。
内宇宙『
その──八ヶ月後。
「
「
感応スクリーンに映し出されたのは、宇宙空間に波紋を広げるエネルギーの膜だった。その波紋に進入した突撃艦がたった今粉砕されたのだ。
「続けて『
キャプテンシートに身を収めた初老の男は、ギラついた瞳を見開いた。
「
総力戦である。
今まさに、『突撃艦隊』は最終決戦ポイント『
ここへ至るまでの間に、七つの
これらを突破するために100隻あった『突撃艦』の半数以上を失うことになってしまった。
そして、
しかし、次の瞬間には『
「『
初老の男がキャプテンシートを立ち上がる。
「ダメだ。このままでは勝てない!」
警報が鳴り響く。
『聞こえますか、キャプテン 浦島?』
立体音響共鳴器からの声は、突撃艦『
『これまで七つの
「残された艦隊を、敵は是が非でも通さないだろう」
『しかし、まだ諦めるには早すぎます』
「どういうことだ?」
『これまでの犠牲で、『
「本当か」
サタジットはある画面を転送してきた。
まるで宇宙空間の組成図のようだったが、よく見ると違う。空間の揺らぎを背景にして、力場の塊が奥行きを持って整然と並んでいるのだ。
それは複数の力場が、ある領域を守るように広がっている光景に見える。
『これが解りますか?』
「これは……
『その通りです。人が死に至るまでの行程が八つの
『
複数の層が磁場の薄い膜を形成していた。
『磁場の膜は20あり、その先の21番目に『
その数字は、残存する艦隊の数と同じだった。
キャプテン 浦島は、サタジットの考えを悟って表情を強ばらせる。
「それは、いかん」
『いえ。これしか方法はありません』
「犠牲を前提に作戦は立てられん」
『いえ。これまでにも地球を守ろうと多くの犠牲を伴いました。彼らはこの最後の局面に至ることを目指し戦ったのです。その想いを無にはできません』
残存する20隻の『突撃艦』が整然と陣形を整えはじめた。『
『全艦、プラン共有し配置完了。旗艦『
サタジットの有無をいわせぬ言葉に浦島は決断を迫られた。
20ある防御膜のそれぞれを、20隻の『突撃艦』がひとつずつ担当し、艦もろとも破壊する。その陣形は、防御膜の間隔に合わせて艦の位置を微妙にずらしたまま、全艦一斉に『
長い沈黙の後、浦島の声が響いた。
「全艦突撃! みなの想いは旗艦『
号令一下、全艦が一糸乱れぬ突撃を開始した。
「突撃艦『
「『
次々と犠牲となった艦名が報告される。その度に、ひとつずつ防御膜が失われていく。
やがて20番目に達した時、ふたたび『持国天』キャプテン サタジットから通信が送られた。
『勝利を確信し、旗艦『
万感の想いを込めて浦島以下『
閃光が『
突撃艦『
そして尊い犠牲者の上に、ついに『
暗黒の闇がとぐろを巻いている。
「
キャプテン 浦島が口を開く。その目は暗黒の中心で揺らめく小さな光点を捉えていた。
「全出力を船首『
『
出力注入音の高まりに同調するように、照準の固定が完了した。
21回目、最後の攻撃である。
艦首へと送られる最大限のエネルギー。しかし、さらにそれ以上のパワーが外部から流れ込んでくる。
「キャプテン 浦島。
浦島は全身に感じていた。これまでに散った人々の想いがエネルギーとなって『
みな、共に
「艦首『
膨大なエネルギーの奔流が暗黒の空間に突き刺さった。『
空間に呪詛の響きが満ちた。魔物の断末魔の声である。
我らは勝ったのだ。
地球防衛機関『
キャプテン 浦島の頬に一筋の涙が落ちるころ、『
浦島は、次々と無尽蔵に散っていく流星の美しさに、これこそが『
やがて、流星の輝きに溶け込むように現れた、『
いや、そればかりではない。ここまでに犠牲となった79隻の突撃艦乗員。さらにははるか過去に亡くなった人々の姿が重なって突撃艦『
ゆっくりと浦島が敬礼する。
続けて艦内の乗員全員が敬礼するころ、亡くなった人々はあらゆる方向へ流星となって飛び去っていく。
それは新たなる転生の地を目指しての旅立ちのようであった。
『
本来ならば、絶対に生きた人間には識ることのできない空間である。『
薄れつつある『
霊的エネルギー素材で構成された艦船での航行が不可能になる前に、急いで帰還しなければならない。
「船首反転、ヨーソロー。地球へ向けて全速!」
キャプテン 浦島が叫んだ。
亡くなった仲間たちの生命が、何処かの地で転生することを願いながら、突撃艦『
障魔時空 突撃艦『空我』 関谷光太郎 @Yorozuya01
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