それでも私は、ボクッ娘。

大創 淳

第六回 お題は「私と読者と仲間たち」


 ――とある小説サイト『書くと読む』……そこで私は、エッセイを連載している。



 私といっても僕。僕といっても中学生の女の子だけれど、所謂いわゆるボクッ娘。やはり一人称は『僕』の方が執筆しやすいので、いつものように『僕』で書下ろさせて頂きます。



 もう一年過ぎる連載。『新章たるウメチカ!』という作品が、僕の拙作。本当にゼロからの出発だったの。……小説も教科書でしか読まなかった僕が、エッセイを毎日更新しているなんて……予想も、想像さえしていなかったあの頃、あの出会いがあったから。


 梨花りかとの出会い。


 僕と本当に瓜二つの女の子。そして僕と同じボクッ娘。出会いはお詫びから。僕が違法の高額チケットを売っていたから、似ているというだけで僕と間違えられた女の子。


 刑事に補導され、怖い目に遭ったそうで……


 それでも僕のことを許してくれた。それどころか、お友達になってくれた。それも、もう親友の域に達するお友達にまで、グイッと引き上げてくれた。……でもその頃は、お互いに知らなかった。僕と梨花が双子の姉妹ということを。本当に稀な出会い、奇跡。



 奇跡の巡り合わせ。或いは運命ともいえる出会い……ではなく再会。


 生き別れてから十三年の歳月を経て。もしかしたら僕は、梨花と再会するために、守られながらも生きていたのかもしれない。……学校ではいじめの果てにレイプもされ、不登校になって。お家では貧困で、お母さんの虐待も受けつつ、幾度かの心中未遂……


 絶望も否めない中での、


 ……出会いは、涙なしでは語れない大切な人達との出会い。特に僕の『あしながおじさん』のティムさんとの出会いは、違法の高額チケットの販売へと導き……でも、そのお陰で梨花に辿り着けた。そこから光あふれる境涯へと……そう。境遇よりも境涯。本当に夢のような境涯へと、僕だけではなくて、お母さんも一緒に引き上げてくれた。


 トラウマレベルの酷いことをされても、


 やっぱり僕のお母さん。……許されざること、これまでの行為でも……僕のために苦しんだのだから。僕のために追い込まれていたのだから……ありがと。そう溢れる涙の中で溢れるその言葉。僕と一緒に幸せになろうと、今度は僕から、そう告げた。



 そして梨花との出会い……いや、正確には再会だけど、


 それは同時に『書くと読む』の出会い。僕が……その。いじめられた時の、特に不登校の原因となったレイプされた時のフラッシュバックで、発作的な自殺……未遂だったけれど、その運ばれた病院の病室で、薦められたエッセイ。それは梨花の書いたもの。


 かつては梨花も、


 エッセイを連載していた。――りかのじかん。それがタイトルだ。読む、読まさせて頂いた。心に躍動、夢中も夢中、読み進めていた。スマホで病院の中で、ディルームで。


 涙。……溢れる涙。

 染みる夕焼け、その風景……


 それが、真の始まり。いつしか思うようになる。



 ――僕も書きたいと。


 血は争えず梨花のように、お姉ちゃんのようにエッセイを書きたいと……密かに燃ゆる炎のように、沸々と湧き上がる情熱。それを受ける大陸は、僕の広がる脳内にあるの。


 水平線の彼方まで広がる海のように、

 感動や想いで溢れる涙は、広がる広がる広がる……海のように果てなく広がりゆく。


 僕が感動したように、

 今度は僕が、その感動を伝えたいの。


 もちろん同じエッセイでも、書くものもテーマも異なるけれど、

 明日への勇気や希望、そして癒しも、伝えたいことは同じなの。


 僕ら双子の姉妹を応援してくれる双子のお兄様たちに、画面越しに励まして頂いて、そこから広がる『書くと読む』のお仲間さんたち。本当に心温まるコメントたち。ありがたく、ありがとう。その溢れる想いでいっぱいで。


 前に進んでゆく勇気。……この度のKACに果敢に挑んでゆく勇気になった。


 ――そして、沢山の元気を頂きまして、本当にありがとうございます!


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それでも私は、ボクッ娘。 大創 淳 @jun-0824

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