第5話 巨大多国籍水企業社長
私と私が経営する会社が世界中の人々から憎悪されていることは知っている。
しかし私は邪悪な人間ではない。真面目に仕事をしているだけだ。
会社も悪ではない。利潤を追求しているだけだ。
もし私が仕事の手を抜けばどうなるか。株主から弾劾され、失職するだろう。私の代わりはいくらでもいる。
私の年収は100万ドルを軽く超えるが、私は幸福ではない。はっきり言おう。不幸だ。
私は昨年、暗殺されかけた。プライベートで家族とドライブしているとき、高速道路で車のタイヤが狙撃された。
私は奇跡的に軽症で済んだが、助手席に座っていた妻は首の骨を折り、死んだ。後部座席にいた娘は深刻な脳挫傷で下半身不随になった。
犯人は捕まっていない。
私は辞職を考えたが、娘に手厚い医療を施し、最先端の脳再生手術を受けさせるため、仕事を続けている。
娘が治ったら、こんなつらい仕事はすぐに辞める。
会社も悪ではないと書いた。多国籍水企業は利潤を最大化するために運動している。世界中の株主たちがそれを望んでいる。株主も悪ではない。金儲けが悪だったら、世界は成り立たない。
あえて何が悪かと言えば、資本主義というシステムである。誰が資本主義を裁けるだろうか。
水を、渇きを癒す水を・・・! みらいつりびと @miraituribito
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