第4話 再公営化
日本国民の巨大多国籍水企業に対する怒りは頂点に達していた。
再公営化を公約にしなければ、選挙に勝てない。私はこのままでは国会議員の地位を維持できないと感じた。
他の多くの議員もそう考えていた。
与党は再公営化を促進することをマニフェストに加えるよう検討し始めた。
巨大多国籍水企業は抵抗した。金の力で我々を懐柔しようとした。しかし従うわけにはいかない。水道代の高騰が原因で、内閣支持率は危険な水準まで低下している。
しかし水企業は強大だった。すでに水だけを商っているわけではない。その実態は巨大多国籍複合企業であり、その連合体は国家よりも大きな力を持っていた。
彼らは水道料金を少しだけ下げ、支配下の社員、関連・下請会社の社員、その家族に働きかけ、内閣支持率を向上させた。
選挙で負ける心配はなくなった。
巨大多国籍水企業に逆らえば、議員の地位を守ることができなくなるのは明白だった。彼らは強すぎる。
私とて理性では再公営化が正しいとわかっている。
しかしその道は限りなく遠く、不可能に近い。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます