卯月

空気清浄器を止めて

大きく窓を開ける

鈍色の雲が淡い縁どりをつけて

輝いている


空は高く

風はつめたく澄んでいるのに

家々は

固く扉を閉ざしている


ひとりきりで

近所の沼まで歩く

水面はメタセコイアの翠を反射している


誰もいないベンチに座る

また引き返して

男坂を上ってゆく

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現代詩etc. 葉山美玖 @mikuhayama

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