現代詩etc.

葉山美玖

鯖缶

しなびた八百屋に

関東平野の空っ風が

慌てて通り抜ける


今朝も

水煮の鯖缶に

大根を粗くおろす

どろどろした醤油をかけて

飯と昨日の豚汁と一緒に

腹いっぱい食べる

きゅうりを一本

白だしに漬けたのを

半分に割ってそえる


台所の隅には

米と鯖缶が

まだまだある

こんなんでいいのかよ

食べないと死ぬからな


缶のラベルの

鯖の目が

こちらをジロリと睨んでいる

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