終幕
「ねぇキミ、キミには何か叶えたい願い事ってないの?」
心の隙間を抱える者の前に、その青年は現れる。金の鎖に繋がれた、七つの珠のアクセサリーを揺らしながら。
しかし少し考えてみると良い。その青年の出現と、その青年が身に着けているアクセサリーを。
青年は心の隙間から心の隙間へと、音もなく影もなく時空をも超えて現れる。
モフモフのお洒落なアクセサリーも、いずれも不浄な鳥の頭の擬態に過ぎぬ。始終クチバシを蠢かせ、外宇宙の名状しがたき符牒を唱え続けている。
余人が抱える果てしなき願望を叶える青年。その本性は余人には窺い知れぬ、名状しがたき存在の眷属である。彼もまた大いなる邪神「道ヲ開ケル者」の願いのしもべに過ぎない。人々の蠢くさまを嘲笑しながら彼は舞う。おのれの心に密かな願いを叶えながら。
願いを叶えると嘯く輩には心せよ。七つの鶏頭を首に捧げる者の言葉に耳を傾けるな。確かに彼は耳にした願いを実現させる力を持つ。しかしその願いが真に求めていたものか。事が進んでから考えては遅いのだ。
願いを叶えるは異形の神の使いにあらず。おのれの心の動きにて願いを叶えるべきなのだ。異形の神に縋れば異形に魅入られるだけなのだから。
キミの願い、叶えてあげる! 斑猫 @hanmyou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます