第317話 エピローグ・子供達②
前回に続いて私達家族のことを話しますね。
ママは、十代から結婚するまで世界中に名前と顔を知られた超有名人です。
結構数は減ったのだそうですけれど、今でもネットでYUNAで検索を掛けるとママの顔がたくさん出てきます。
私が生まれる前のことなのに、パリオリンピック出場の頃の映像は、今現在の顔とほとんど変わっていません。
ママの場合、髪形や化粧、それにサングラスや帽子なんかで結構化けますから気が付かない人もいるかもしれませんけれど、注意深く見るとほとんど若い時のままなんです。
まぁ、ママが高校1年生の折にロンドンで有った世界陸上に出場した頃とは流石に変わっていますけれどね。
ママの場合、陸上競技、水上競技、馬術競技などの各スポーツ界と音楽界からも注目されていますし、ママの専門である獣医学会や医学界からも注目を集めているのです。
ママが時折発表する論文は、獣医学会のみならず医学の学会や薬学界も注目しています。
何せ、ママが作り出す薬剤や医療機器は、獣医関係だけでなく、人の医療にも使えるものが結構多いんです。
ママの場合は、その都度、特定の医療器メーカーや製薬会社などと契約し、売り上げ価格の1%のうち、0.5%を国境なき医師団へ、0.25%を出身大学の日本❆医生命科学大学へ、残り0.25%をママの指定口座に振り込むようにしてもらっています。
そんなのがもうウィーン獣医大学留学時代から20年近く継続していますから、ママの口座には大変な額が残っています。
ママは笑って教えてくれませんが、そうした契約会社からの振り込みだけでも年間で100億円を下らないのじゃないかと思いますよ。
だから、高額納税者の百人以内にママの名前が載っていますもの。
でもママは無駄遣いには厳しいんですよ。
私と譲司の小遣い帳はパソコンの中に在りますけれど、ママとパパが毎日確認していますから・・・。
余り無駄なお金に使ったりするとお小言を頂戴する羽目になります。
お小言を言われる場所は、決まって離れの四畳半(茶室)です。
正座するのが結構辛いんですけれど、鍛えられて、・・・(ン?叱られての間違いかも・・・)慣れてしまいました。
今では1時間程度なら全然大丈夫です。
状態異常回復の魔法や超能力を使うとすぐにばれますからママの前では使えないんです。
またまた、脱線しましたね。
ママが今もって超有名人という事で、実はその家族である私と譲司も結構注目されています。
注目しているのは主にスポーツ界と芸能界ですね。
ママの教えで極力目立たないよう動いてはいるんですけれど、通学時の顔やスタイルはママのように変装もできませんから、隠しようがありません。
で、初等部の時はまだ少なかったんですけれど、中等部に入ってかなり追っかけが多くなりました。
家と学園は徒歩だと2キロぐらい、ポートライナーだと乗車する駅により二駅か三駅目で近いのですけれど、家がバレていますので、通学時を狙われています。
有象無象の類ですから、もし仮に彼らが悪さをしようと仕掛けてきたら簡単にのしちゃいますけれど、ママからはできる限りしないように言われています。
それをしちゃったらますます注目を浴びてしまうからです。
で、最近はルナさんが私と譲司を学園まで車で送り迎えをしてくれてます。
でも正直なところ困っちゃいますよね。
土日であっても、碌に遊びにも出かけられません。
何となく引きこもりになりそうです。
ママ曰く、諦めて思いっきり目立つのも一つの方法だけれど、それはせめて高校に行ってからかなと言ってます。
私には、ママから伝授された武術がありますから、剣道、柔道、薙刀、弓術、空手、合気道など何でも行けます。
それに年に数回ですけれど神戸馬術クラブでお馬さんにも乗っていますから、馬術もできますよ。
銃器は日本では扱えませんけれど、パパやママと行った異世界では私でも使える銃器はあるようですので、その気になれば訓練は出来そうです。
運動は何でもござれですけれど、今のところ、抑えに抑えて同級生の普通程度にしています。
だから、高校時代のママのように陸上や水泳競技に入ってもいいかもしれません。
音楽関係では、楽器の演奏はほぼ何でも演奏できますよ。
演奏方法は全てママから教えてもらいました。
テレパシーでテクニックを全て伝授してくれるから、物凄く簡単で、どちらかというと野菜なんかの促成栽培のようなものですね。
武術の方は、危険なので、そんな教え方はしませんでしたけれど。
尤も、私の体力及び筋力に余裕があると判断してから初めて教えてくれます。
幼い頃はどんなに頑張っても、指が届かない楽器はいくらでもあるものです。
それらを演奏し又は教えを請うのは、私の成長を待ってからの話なんです。
身長が155cmを超えた頃にはどんな楽器でも自由に演奏できるようになりました。
音楽で大事なのは感性でしょうか。
曲を聞きあるいは楽譜を見て、そこに感じられたものをいかに表現するかなのだろうと思います。
私には音楽の才能もありそうです。
ママが、歌手にも演奏家にもなれるよと太鼓判を押してくれました。
私の未来の有り得べき職業の一つとして考えておきましょう。
弟の譲司も私と同じで何でもこなせます。
ですから弟も多分どんな職業にも就けそうな感じです。
一方で私たち兄弟は、別な道もありそうなんです。
地球世界に魔法能力を持った者は居ませんし、超能力を有する者が居ても同世代で私達と釣り合いそうな人物は今のところ居ないことがわかっているんです。
ですから、将来的には地球世界を離れて異世界へ飛び出すのもいいかなと思って、今は暇がある時には異世界を色々と覗き見ている所なんです。
そんな中に居場所を見つけたなら、そこへ移転することも一つの方策なんです。
少なくともパパはそうやってこの地球世界へやって来て、ママと出会いました。
仮にママと出会わなければ別の世界へ移動することも考えていたそうです。
パパがこの世界に来たのは伴侶探しがメインだったようです。
ママが口癖のように言うことがあります。
「貴方達の人生は、きっと長いものになるでしょうね。
でも、今の若い時の人生というのは一度きりなのですから、悔いのない生き方をできるように努力をなさい。
ママは、貴方達が生きて行く上で必要なことは概ね教えたと思っています。
私は二人の考え方や生き方をいつでもサポートし、アドバイスも惜しみません。
自由に生きて、今という時間を学び、楽しみ、謳歌なさい。
それがあなた方の生きたという軌跡になりますから・・・。」
私はママの若い時の記録を調べました。
表面的な業績だけではなく、その時にどう感じ、どう行動したのかもママに教えてもらいました。
その中には人には知られてならないこともたくさんありました。
私はママを、ママの生き方を尊敬しています。
そうして私はママが大好きなんです。
私はママの子供としてこの世に生を受けたことを誇りに思っています。
ママ、どこか異世界に移転したとしても今のままのママでいて下さいね。
== 完 ==
長い間お読みいただきありがとうございました。
また別の機会に、別の作品でお会い出来たら幸せです。
by @Sakura-shougen
ミラクル・ユーナ ~ 獣医を目指す転生少女の軌跡 @Sakura-shougen
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