第316話 エピローグ・子供達 ①
私は、
現在13歳で神戸市立義務教育学校港島学園の7年生です。
ママは、加山優奈、YUNA動物病院の院長であり、獣医師です。
パパは、ユーリー・ミハイル・マクシム、神戸市に本拠を置くESTO-ITONというIT関連会社のCEO(Chief Executive Officer:最高経営責任者)です。
実は、両親の姓が違うために、15歳になったら、どちらかの姓を決めなければなりません。
つまりは、「加山安奈」若しくは「アンナ・マクシム」ですね。
今現在は、どう名乗っているかというと、「加山マクシム安奈」若しくは「アンナ・カヤマ・マクシム」ですね。
学校には「加山マクシム安奈」で届けています。
夫婦別姓の弊害というわけでは無いのですけれど、別姓の夫婦に生まれた子供は16歳までにいずれかの姓を決めなければいけないのです。
因みに、国籍は日本ですよ。
パパはエストニア人でしたけれど、現在は日本に帰化しているので日本人なのです。
私の住まいは神戸市中央区港島南町6丁目❆ー4にあるYUNA動物病院の屋上にあるペントハウス(5階と6階部分)なんです。
この家というかビルの所有者はママですね。
住人はパパとママ、それに私と弟の譲司、それからフィリピン人メイドのリンダさんとナオミさんの二人、それにベビーシッターのルナさん。
ルナさんは、私が生まれた時からいるお姉さんでパパの遠縁の人なんです。
とってもきれいなんですよ。
で、ママとは違う様なんですけれど彼女も歳を取らないみたい。
だって私が一切の頃からお顔も体型も変わっていませんもの。
彼女、実は女神さまのお子なんで、年は取らないんだそうで、私が15歳になったらお別れすることになっています。
我が家には第一子の私が15歳になるまでの約束(?)で居るのだそうです。
更に住人とは違うけれどファミリーの一員になっているレオンとファナ。
レオンはゴールデンレトリバーで、ファナはラグドール、犬と猫なんですけれど、とても仲がいいんで、まるでパパとママみたい。
ついでにママのことを説明しておきましょう。
内緒の話ですけれど、ママのお年は2001年9月生まれの39歳なんですよ。
ママが25歳の折にパパと結婚、翌年に私が生まれました。
ママは、とっても若々しい美人の上に、モデル顔負けの抜群のスタイルですから、私が敬愛する自慢のママなんです。
なので、ママが父兄参観に行ったりすると大変です。
私の同級生のママは、年齢的にアラフォー(中にはアラフィフがいるかも・・・)なんですけれど、ママはどう見ても二十代半ばにしか見えないんです。
おまけにママは超有名人ですから、ママ世代の人たちには顔も名前もしっかりと知られています。
だから父兄参観なのに休憩時間にアイドル並みにサインを求められたり、スマホを向けられたりと、何だか芸能人がやって来たような騒ぎが起きます。
私が5年生の時に一度騒ぎが起きたので、それ以来、ママは父兄参加には極力不参加なのです。
元々、ママは獣医のお仕事もある所為で、父兄参観に出席するほどの余裕もないんです。
父兄参観日は土曜日に計画してあることが多いので、その意味では土曜日に休みがあるパパの方が出席しやすいんです。
で、次は、パパの説明かな?
パパはエストニア人で、たまたまウィーン留学中のママと街中で出会って意気投合、パパは当時エストニアに居たのに、わざわざ一月に一度はウィーン市内でデートしていたそうですから、もう熱々ですよね。
ママが一年間の留学を終えて日本に戻った頃には、パパの会社のESTO-ITONの海外移転を考えていて、オーストラリアか日本を候補に入れていたみたい。
ママが留学明けの夏休みで神戸に帰った時点を見計らって来日、関西一円をママの案内で回った時にママの両親や祖父母達にもご挨拶をしたみたいです。
その時点では、ママもパパも将来の結婚のことをほぼ決めていたようで、ママが獣医を開業したら結婚しようという話になっていたようです。
だから、パパも数ある会社の移転候補の中からママと一緒に住める神戸を選んで会社を移転したようです。
そもそも移転の理由は隣国政府筋からの種々の圧力が有って、自分の会社でありながら自由な活動ができなくなることを恐れて移転を決めたみたいなのです。
一応エストニアにもまだ会社はあるけれど、向こうは抜け殻みたいなんもので、実質日本に設立した会社がすべてを握っているみたいです。
大人の世界はやっぱり結構面倒みたいですね。
そうそう、ESTO-ITONの社員は、その6割近くはエストニア人なんです。
その社員のほとんどが家族ぐるみで日本に移住してきましたから、神戸市灘区に在る社宅はさながら異人街の様なんです。
もう、日本に進出してから15年近くになりますから、エストニア人と言っても全員が日本語を話せる人達ですけれど、一月に一度我が家で開かれる定例のパーティには、家族ぐるみで来ていますから、私もその社員さんやその家族とも親しくなっています。
彼らのお子さんの中には私と同年代の人もいますからね。
次は私の話かな?
私の容姿はというと、ハーフですからちょっと日本人離れしているかも・・・。
髪の色はブルーネット、瞳の色はグリーンに近いグレイでしょうか。
体型は両親二人の血を引いたみたいで足長ボディでスリム?
最近、おっぱいがかなり膨らんできてちょっと持て余し気味なんです。
学園のお友達とは胸周りでかなり差ができちゃいました。
身長はもう少しで170cmに届きそうですね。
パパが約188cm、ママが約179cmですから、二人の血筋を引けば間違いなく170cmは超えそうです。
身長の低い聖子お婆様が良く言うことの一つに、『180cmを超えると嫁の貰い手がなくなるかも?』です。
疑問符がついているのは、ママがより大きなパパのお嫁さんになったからでしょうかネ。
外人さんであれば高身長の方もいますものね。
私の場合は、今のところ結婚の話はまだ早いですからね。
慌てずじっくり見定めることにしましょう。
但し、私も弟も極めて特殊な子なのです。
実のところ、パパもママも、超能力者で魔法使いなのです。
魔法使いは、お伽話ではなくって本当に居るんですヨ。
ただ、この世界にはかなり少ないみたいです。
ほかの世界には居るのですけれど、それでもそんなに沢山居るというわけではありません。
確率から言うと数億から数十億分の一程度なんだそうです。
50億人の人口があれば、2人から12、3人ぐらいの人数でしょうかねぇ。
ですからこの世界(2040年の人口約90億超)なら二人から三十人程度までの間が普通で、パパとママが知り合った頃は、超能力者は多少いても、魔法使いと呼べるのはパパとママの二人だけだったのです。
そこに私と弟の譲司が生まれましたので、今は四人。
まぁ、平均的な数値なのでしょう。
因みに超能力者の方はそれなりに居そうです。
私の周囲にも意識を読めない人が二人ほど居ますので、その人たちは超能力者である可能性のある人です。
但し、超能力者の素質を持っていても超能力者としての能力が発現するとは限りません。
パパ曰く、その人にある程度の基礎的な下地が無いと発現しないそうです。
例えば、私の周囲に居る意識を読めない方の場合、オーラが小さいので多分能力は発現しないだろうと言っており、ママも同意見でした。
なので、私はその限度がどの辺に在るのか見極め中なんです。
先日、パパ、ママ、私それに譲司の四人で異世界に小旅行をしてきました。
訪ねたのは市役所の戸籍窓口に似たような組織です。
パパの家系の人たちはある種の治療行為を受けると、20代半ば頃の年代に若返り、そこから老化しないのです。
但し、10年に一度は老化防止の処置を受けないとそのまま老化して死に至るそうです。
一方で、この措置を受けた人は、処置が受けられる限りずっと不老になるのです。
ある意味で不老不死の実現なのですが、困ったこともあります。
体が若返って性行為に励むとどんどん子供が生まれます。
仮に世界全体がそんな状態になったら人口が増え続け、いずれは飢餓で死ぬことになりますよね。
だから一族以外の人には当該処置をしないことにしていますし、むやみやたらと繁殖行為をしないように、一族で生まれた子は登録をするのです。
それは将来的に自分の孫の子孫と子供づくりをしないようにするための最小限の防護策なんです。
だから、仮に男性がお嫁さん候補なりを見つけた時は、そのお嫁さん候補が身内でなく近親婚にならないよう確認するための登録所の様です。
パパはもちろんですけれど、ママと私と譲司も一族の仲間入りでその不老化処置を受けることはできるのだそうですけれど、ママは不要なんですって。
実は、ママは自ら若返りの手法を開発していて、その手法はこの登録所のある場所で行う不老処置とは全く異なる方式の様ですよ。
ただし、ママはその方式を他人に広めるつもりは余りないそうです。
尤も、パパと私と譲司はその他人の中には含まれていないそうですけれどね。
このパパの一族の不老化方式を受けた人は、概ね五十年前後を境にして、居住地を変えるそうです。
いつまでも若いままでいると絶対に周囲に疑われますから、原則として50歳で第一回目の不老化処置を行ってどこかに移転、その後10年置きに不老化処置を継続するわけですが、概ね30年前後を境にして一般的には到達不可能な場所に転居して以前の知人とは距離を置くのだそうです。
移転場所が仮に地球の上ですと何かのはずみで偶然にも昔の友達と出会うこともあるわけですから、そんなことの無いよう徹底して、その世界での転居では無くって、全く別の異世界で新たな生活を始めるんだそうですよ。
ママもパパもその意味ではあと11年もしたならその年齢になるので場合によっては、その時点で異世界に旅立つことも考えているようです。
特にママの場合は、顔が世界中の人に知れ渡っていますから何かのはずみで知られてしまうと後が大変ですからね。
尤も、ママの魔法のような術式は、老いを止めることもできるけれど、老いを偽装することもできるんだそうです。
なので、場合によっては、私達子供の様子を見ながら適度に老けて、少なくとも70歳になる前には移転するそうです。
ですから私たち家族の間では、パパとママの移転はもう当たり前、それがいつになるかだけの話ですね。
ママの動物病院についても、パパのESTO-ITONについても、私達が継ぐ必要はないけれど、私と譲司が譲って欲しければ譲るよとも言っています。
ママの病院の場合は獣医師になることが最低条件、パパのESTO-ITONについては、少なくとも電子工学関係の博士号取得が最低条件だそうです。
正直に言うと私と譲司にとっては左程困難な条件ではありません。
ママとパパからスパルタ教育で色々な知識を習得させられましたからね。
特に精霊さんや妖精さんを使って一斉にマルチ情報を送りつけられるのは本当に困りましたけれど、何とか凌いだので、今の私たちがあります。
ママからは二人とも日本のSSランクの国立大学でも合格できるだろうとのお墨付きをもらってます。
私は中学一年生相当、弟の譲司は小学五年生相当の年齢なんですけれどね。
ママからはもう一つお墨付きをもらっています。
ママは、古武術の流れをくむ
この参加者は私たち以外には、パパも時々参加して技を教えてもらっていますし、メイドさん二人が熱心に取り組んでいます。
今ではメイドさん二人が暴漢の一人や二人なら簡単に制圧できるほど上達していますが、それでも仮目録の中位クラスです。
譲司がようやく目録に達していますし、私は免許皆伝の一歩手前の奥伝に達しています。
ママ曰く、できれば私か譲司のどちらかに宗家を譲りたいそうです。
本当はママのお爺さんの代で途絶えるはずの古武術だったそうです。
現代では余り意味を持たない実戦的な武道なので、広く後世に残すつもりはないけれど、身内の者が誰か継いでくれれば先祖も浮かばれるだろうと話していました。
そもそもが鎌倉時代に端を発した武道で、続く室町、戦国時代に活躍した古武術なのです。
加山家が宗家となったのは江戸前期の頃のようですが、判然とはしません。
いずれにしろ一子相伝の古武術ですから子孫が絶え、あるいは子孫が居ても力量が及ばねばいずれ絶える武道には違いないので、ママも左程残すことに重要性を感じてはいないようです。
ただ、それぞれの技の中に人が生きる上で大事な教えが色々と入っているから、できればその概要だけでも残しておきたいと考えているようです。
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