第13話 退屈

 王子の事は暫く放置しておきましょうかね。

 あの方の事は、私はもう知らないわ。


「えっと、だったらどうしょうかしら?」

「一体、なにがでしょうか?お嬢様」


 あっ声に出てしまったわ。

 私の一言に、直ぐに反応するグレンに突っ込まれてしまった。私のドジ!


「えっと、暇だなぁ~と思って」

「暇ですか?」

「ええ、とってもね?」

「それはそれで良いのでは?(私の心が休まりますし)」

「ええ暇で……あ!ここは保護区に近いわよね? 一度ルクス達と、保護区の見回りに行こうかしら?」


 危険な魔物も居ないとは思うし、マップで確認しても実態が分からないのよね。


「そ、それは危険ですよ。お嬢様!(また始まりましたよ!この方は!)」

「え? 大丈夫、平気よぉ~。ルクス達も居るもの。まっ、リズ達にはお留守番してて貰うけれど」

「それは…そうでしょうが!絶対に駄目ですよ。ご領主様たちにでも、知れたら私がどやされます。絶対に!やめて下さい」

「ええ!暇じゃない?」

「お嬢様!貴女はここで、大人しく為さってて下さい!それに、形だけでも婚約者候補様がここには居るのですよ?」

「大人しく? …婚約者候補?」

「ま、まさかお嬢様………ご自分がどの立場に居るのか、分かって無いのですか?」

「い、いえ、そんな事は分かってるわよ。でも候補…候補ですの? あれが?」

「………はぁ? なんですかそれは」

「えぇ!だってあの方の態度が、とってものらりくらりとしてて、全く反応ないのよ?それにね、あっちが申し込んで来た割には、全く押して来ないし? 私的には無理だし?」

「お嬢様……それは…お早めに御断りを…」

「わ、分かってるわよ?ちゃんとね」

「はぁ~そうなのですね? しかし、クククお嬢様…」

「な、なにかしら?」

「クククッ、おもてになるのも大変ですね?」

「なにそれは?グレン、私に対してのそれは皮肉なのかしら」

「いえ、違いますよ?ですがほら、前の異国の王子に、先日の伯爵のご子息、あの方は少し違いますが……?それに、あの王子様ですよ?お嬢様は、王子に縁があるのではないですか?(引きが強い方ですねぇ……)」

「むぅ……グレンそれはやっぱり、皮肉に聞こえるわよ!」


 私の膝の上に乗るクッションをグレンに投げつける!

 投げ付けたクッションを軽く受け取って、私の隣になにもなかった様に、さりげなく置き直して軽口を利く。


「おっと!お嬢様はしたないですよ? それに危ない」


 物を投げるなと目が言ってるわ…こ、怖い。


「もう、グレンの意地悪!」

「そうですか?フフフ」

「もう、笑い事ではないわよ?」

「まぁ、まぁ、お嬢様落ち着いて下さい。それより、この後はどうしますか?」

「そ、そうだったわね。ならお父様とお話しがてら、城の畑で作ってる薬草を採りにでも行こうかしら?温室のフルーツも取りたいし」

「薬草に、フルーツですか? それはいいですねぇ?」

「フフフ、でしょ? フルーツでも採って何か作ろうかしら? グレン何が食べたい?」

「そうですねぇ…ああ!そういえばジャムが残り少なく為って来てますし、それに、パンやケーキ等はどうでしょう?お茶請けには最適では?」

「あらそう? だったら、久しぶりにお菓子でも作ろうかしら?」


 でもそれってグレン食べたい物じゃない気がする……。グレンがそれで良いならいいけど。


「ええ、それが宜しいのでは?」

「それなら、そうしましょうか。お父様に御相談する前に、先触れを出さないとですもね?ならその間にでも、色々収穫するのも良いわね?」

「承知しました。では、先にご連絡をして参りますから、お嬢様はエルサを連れて薬草園と温室にに向かってくださいませ」

「フフフ、ありがとうグレン。後でグレンの食べたい物を作るわね」

「それは期待しておりますよ」


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婚約破棄ですね。これでざまぁが出来るのね。 いくみ @kimica

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