第13話 あの光は塀の中から出ている
経済が繁栄している。
我らの栄華の時代。
こんなに素晴らしいことがあるのだろうか。
いや、まさに我々はこの繁栄の時代を生きることに感謝せねばならない。
ああ、富は我らの中に。
そんなニュースが流れる。
だけど、それは塀の中の物語でしかない。
その光は塀の中にしか見えない。
私たち、塀の外にいる者たちには何ももたらさない。
いや、それどころか、私たちの富を奪っていく。
返ってなどこない。
私たちが生み出した富なのに。
どうして彼らは奪うのだろうか。
私たちが富を生み出そうとする行為を邪魔し、富を生み出せば奪い、私たちの生活を奪おうとするのか。
そんな理由がどこにあるのだろうか。
どんな物語でもそんなことは書いてあるのだろうか。
そんなことを許す道徳はどこにあるのだろうか。
そんな正義がどこにあるのだろうか。
問いたい。
あなたは、一体どれだけの他人に被害を与えて、塀の中の幸せを欲したいのか。
まるで、そこはユートピアではない。
塀の中にはユートピアなどない。
そもそもどこにもないからユートピアなのに。
聴いて欲しい。
私たち塀の外にいる者たちは、中にいる者達のための養分でしかないのか。
昔、昔は仲間だったと言ってくれたのに。
人の中にいるのだから、仲であり、その間に私たちはいるのだから仲間ではないか。
ああ、そんなことも今となっては、ただの虚でしかないのか。
虚無になろう。
いや、彼らの光はいずれ終わるだろう。
私たちは無限ではない。
有限なのだ。
だから、私たち全員の命が消える頃には、塀の中の人たちも生きることができなくなるだろう。
結局、彼らは塀の外にいる者達の力がなければ生きられない依存症の者達なのだから―…。
だけど、私たちはそのようなことで塀の中の者達のために、自らの終わりを迎えたいと思わない。
だから、私たちは、塀の中の見猿、聞か猿、言わ猿の者達を苦しめることに全力を費やすのだ。
私たちが生きた証と、自らの意思を示すために、意志を為さんがために。
自らの欲だけを見なかった者達が手に入れた光は、すぐに消える光であり、悲惨な終わりの始まりでしかなかった。
その後、塀の中にいた者達は、悲惨に終わりを迎える。
彼らは、幸福の代償を払わされるのだった。
青い空を見て[詩を書いてみた] 秋月良羽 @1192133816031871202102
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