第12話 壁を作り、籠る者
彼らは逃げてきた。
彼らの存在を否定し、彼らのやることに何でもかんでも反対する者達から。
彼らは逃げ続けることができないので、壁を作り始める。
えっさ、ほっさ、壁を築け!!!
えっさ、ほっさ、壁を築け、あいつらが来るぞ!!!
溝を作り壁を築く。
これでは、彼らを追う者達も容易に近づくことができない。
追っている者が言っている言葉は分かる。
だけど、あいつらは文句しか言わない。
もう二度とあいつらの言葉は聞きたくない。
えっさ、ほっさ、壁を築け!!!
えっさ、ほっさ、壁を築け、あいつらは馬鹿だ!!!
彼らにとって、彼らを追う奴らは馬鹿だ。
何もしない癖に、文句ばかり言う。
壁もそろそろ高くなる。
これで、あいつらは飛び越えられない。
溝もあるので、不可能だ。
やった、やった、壁を築けた。
これで、あいつらの声を聞かなくて良い。
儂らは正義!!!
正義は正しい!!!
彼らは「儂ら」と言いながら、その壁の中で幸せに暮らす。
永遠、永遠、あいつらは来ない!!!
永遠、永遠、儂らの時代は終わらない!!!
だけど、彼らは気づかない。
この世に安全な場所などどこにもない。
あるのは―…。
何で、何で、お前らが来るのだ!!!
彼らは慌てふためく。
彼らは罪人。
あいつらに対して、強盗、詐欺、横領、強姦、殺人、搾取などを繰り返し、自らの利益にし、あいつらの生活も、人生も奪ってきた。
来るな、来るな!!!
叫べど、叫べど、彼らを助けることはない。
あるのは、今度は彼らが搾取される番……いや、彼らの幸運の代償が支払われる。
彼らは自らのおこなったことの罪を理解できず。
哀れ、哀れ。
他がいて成り立つ自らの利益を損ねたのだから、報いを受ける。
そして、壁に籠った彼らは自らの命を不幸に散らすことで、罪を償った。
彼らは一体、どうしたら本当の幸せを手にすることができただろうか?
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