第11話 ダンジョンは創り続ける

 ここがどこかは分かっている。

 私は死んだ。

 このダンジョンというものを作ろうとして、ダンジョンの暴走により殺された。

 私はコアのようになり、意識だけが乗り移ったのだろう。

 このコアの中に意識が移り、自我が芽生えることによって、私は、永遠を手に入れた。


 どうせ、他にできることもないので、ダンジョンを創ることにした。

 昔、私がゲームやアニメ、小説などで見たものを、この世界に再現しよう。

 どうせ、世界を支配していると勘違いしている者たちには、良い恐怖となるだろう。

 彼らは危機を嬉々として待ち望んでいるのだ。

 自分が人々を支配させるためには、危機が必要なのだから―…。

 危機なくして彼らは支配することができない。

 歴史的にどうなのかは、ケースバイケースとしか言いようがない。

 俺が歴史のすべてを知っているわけではないのだから―…。


 ああ、これは楽しい。

 プログラムを組むような感じだ。

 コードを創り、コードからダンジョンの性質を創り出す。

 それ以外にも、ダンジョンの危機に対応できるように、ある程度の自由を与えよう。

 AIのように―…。

 まあ、私にとって都合が悪いようにはしないように、いつでも介入できるようにして―…。

 制御は必要だ。

 私の都合の掌で踊ってもらわないといけないのだから―…。


 モンスターに人殺しをさせるか、否か。

 人権や倫理や、道徳を説くのであれば、否だが、地球における人の数が多すぎるので、減らすのはアリであろう。

 支配者たちも望んでいることだろう。

 彼らの命に危険がないということを前提とすれば―…。

 それに、スリルというものを与えられるのであれば、私は感謝されこそすれ、批難はされない。

 批判されようが、私を壊すことなどできやしない。

 私は、すでにこの世にはいるが、実体がないのだから―…。コアが実体か。


 さて、危険ばかりを与えているのは良くないことだ。

 危険を冒したとしても欲しいものを与えないといけない。

 タダではない。

 モンスターを創る時も、アイテムを創る時も、部屋を創る時も、エネルギーというものに実体を与えて、分子やそれよりもミクロなものをも変化させ、自らの想像を創造という形において、しっかりと現実のものにしないといけない。

 

 これから、冒険者、いや、ダンジョン探索者どもがうじゃうじゃ湧くことだろう。

 私が創り上げた数々のダンジョンへと向かっていってくれる。

 ここでモンスターに殺された者、それ以外の要因で死んでいった者たちをダンジョンのコアとしたり、モンスターに改造してやろう。

 まるで、輪廻転生だ。

 新たな人生をモンスターで謳歌してみると良い。

 きっと、違った視線で見ることができるかもしれないぞ。


 さて、私の紹介はこれまでにして、世界に存在している数多くの人間の中で、私の言葉を聞いている人間は、このことを肯定的に捉えるだろうか、否定的に見るだろうか。

 まあ、私にとっては関係ないのだけど―…。

 私は、ダンジョンの底で、その答えを見つけるものに期待しようではないか。



 ◆◆◆



 ダンジョンとは、こういうものだ。

 人としても、ダンジョンとしても、狂っていやがる。

 だからこそ、根源のダンジョンをこわさないといけないんだ。

 俺は、ダンジョン=キラーなのだから―…。

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