第2話 ハルカさんの裏話
「こちらオルレアン。アナトリア大佐をモニター中。現状、安全値を維持」
「了解。美冬は引き続き監視を続行せよ」
猫獣人のエローナとヤーブスが対峙している遥か上空にて、光学迷彩をまとい空中に静止している
「しかし、変な事になっちゃいましたね。
「私が変態ロリ親父な設定だったとは初めて聞いた気がするよ。マリー」
「だってさ。あの、トランク開いた時のね、ハルカさんの錯乱っぷりは傑作だったよね。『小さすぎて合わねえ!』って叫びながらビリビリ裂いちゃって」
「面目ない。まさか彼女が間違えて持って行くなんて想定外だった」
「そりゃそうだけど、でもね。あの中身。あんなの、どこで仕入れたんだか」
「いやね。学校に通っていなかった美冬さんに、それらしき雰囲気を味わってもらおうと思ったのだが……下着も淡い色彩のものを選んだし、サイズだって彼女にぴったりの物を用意したのだ」
「それよそれ。美冬、真っ青になってたよ。何で自分のサイズとか好みを知ってるんだって」
「美冬さんがいた教会のメンバーに聞いたんだよ。しかし、思春期女子の扱いは難しいな」
「厚意が裏目に出ちゃったね。しかし、ハルカさんは大丈夫かな」
「本格的な戦闘になってもハルカなら勝てるだろう。基本性能が高いからね」
「まあ、殴り合いなら彼女が一番だけど。問題は精神汚染だよ」
「葉桜と陽炎だな。彼女が、あの闇の波動にどれだけ耐性があるかなんだ」
「確かに。いくら強靭な肉体を持つサイボーグでも、精神は人と同じなのよ。私はそこが心配。いくら報酬が高いからって、この仕事はリスクが高すぎると思う」
「そうなんだ。マリー。でもね。そんなリスクを冒してでも彼女にはお金が必要だった」
「それは聞いてる。でもねぇ。あの件……やっぱり間抜けだよね」
「言いたくはないが、そうだな。気の毒だが」
「でしょ。正規品が品切れでオーダーメイドしたら時間がかかるからって、闇パーツに手を出すからだよ」
「しかも、格安だったとか」
「そうそう。そもそも人工心肺があんな価格で販売されてるなんてありえないでしょ。しかも、正常に機能させるにはオプションパーツが必要で、それがぼったくり価格。最新型のはずだったのに、中身は軍用の型落ちで中古品だった。どんな悪徳業者だって話」
「通販のトラブルはよくあるが、よくあんなのに引っかかったものだ」
「それだけ焦ってたんでしょうね。気が付いた時には業者はトンズラ。負債だけ残った……」
「気の毒な話だ」
「だからこの仕事を見つけたんでしょ」
「そうなんだ。1000年前の情報だったんだが、上手く時間がつながるワームホールを見つけてね」
「妖刀葉桜と怨念がこもる匣……陽炎だっけ」
「そうだ。私もそういう怪奇的な品物にはお目にかかったことがなかったからな。まあ、興味本位だった事も事実だ」
「もし、失敗したらどうするのさ」
「現物が手に入らなくても、レプリカを作れるくらいの情報は収集している」
「魂が抜けた模造品ってところね。そんなので大丈夫なの?」
「まあな。忍者の里の詳細な歴史とその遺物。その情報だけでも高く売れる。この情報料だけで彼女の借金は相殺できるだろう」
「で、今回の依頼者はどうなの」
「ディープステートに深く入り込んでいるという悪魔崇拝者だ。私としては、彼らに葉桜を渡したくない。多額の報酬は魅力的だが、やはり倫理観に劣る連中との取引はしたくない」
「やっぱりそうか。目標をゲットできなくてもハルカさんは回収するんだね」
「本人は拒否するだろうがな。精神汚染が危険値を越える前に回収する。マリーもエリュシオンで待機してくれ」
「わかったわ」
1000年の未来から妖刀葉桜を狙って地球に訪れたトレジャーハンター一行だった。しかし、目的の妖刀葉桜と怨念の詰まった匣・陽炎の影響で、ハルカの精神は徐々に汚染されていたのだ。
※こちらは、最近物忘れがひどい作者用のメモです。皆様方におかれましては、無視して下さって結構です。
ロリ系衣類に埋もれるヤーブス・アーカ 暗黒星雲 @darknebula
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