第二章まで読んでのレビューです
まず、舞台が仮想ヴェネツィアですが、そのあたりの描写がすごくいいです!
街並みや料理など、特に詳しく表現されていて、読むだけでありありと浮かんできます。
(イタリア調のルビが多いので、それが苦手でなければ)
そして……キャラが個性的で、それでもって、きちんと手綱を引いていらっしゃることが素晴らしいです!(ネタバレになるので書きませんが、色々扱いの難しいキャラを、きちんと書いていらっしゃいます)
冒頭だけでもお読みになれば、キャラ付けの良さはお分かりいただけるかと。
魔法の世界で、戦闘描写も良く、読みやすいです!
舞台は異世界、ヴェルナスタ。鮮やかな青にゴンドラが行き交う、あの都市をイメージさせる美しい水上都市です。
紺碧の海に出現するは、あっと驚く恐ろしき(愉快な?)怪異の数々!
立ち向かうは、「ヴェルナスタ特務局」の勇ましき魔法士たち。
個性的な事件、個性的な特務局の少年少女たち、個性的な魔法……
どれもこれもがユニークで破壊的な面白さ!
主人公の少年・リヴィオがしょってる魔法なんて、ちょっと不憫なような、でも羨ましいような…という、一言で説明するのが難しい面白魔法なのです。
軽快なテンポでご機嫌に進むストーリー、明るいキャラクターたちにアニメのようなド派手でカッコいい魔法バトル!
ぜひぜひ、映像を思い浮かべながらご堪能下さい♬
【簡単なあらすじ】
ジャンル:異世界ファンタジー
水上都市で暮らす主人公は、ある仕事の帰りに怪魚人に襲われた。逃げている途中で自称エライメガネ男に遭遇。何とかしてくれるどころか、謎の丸薬を呑む羽目に。それはあるものを犠牲にし、強くなる薬(?)だった。主人公の運命やいかに⁈
【物語の始まりは】
主人公の週に一度の楽しみがなにか? から始まっていく。彼は16歳で同年代よりも小柄な少年。造船所の雑用上がりに、屋台で白身魚の揚あげ物を買い食いするのが彼の楽しみだった。そんな彼が、白身魚の揚げ物に一口目にかぶりついたところで、目の前に怪魚人が立っていた。どうやらこの街に出ると噂になっていた怪魚人らしく、海中にさらわれると攫われた人も怪魚人になるという。慌てて逃げだす主人公。果たして無事逃げ切れるのか?!
【舞台や世界観、方向性】
やたらお腹の空く人たちの出てくる物語。三話の時点では、その理由は分からないが、なにか事情がありそうである。(理由は五話で明かされる)
この物語には魔法士というものがいる。魔法と言えば呪文や魔法陣などにより、決まった何かを発動したり、召喚したりするイメージだがこの物語では想像こそが力に繋がると言っても過言ではない。(詳しくは作中にて)
【主人公と登場人物について】
白身魚の揚げ物が好きだった16歳の主人公は、怪魚人と戦ったことをきっかけに、しばらく白身魚の揚げ物を見たくない状況に。
怪魚人から逃れようと街中を走っていた主人公が出逢ったのは、自称エライメガネ男。警官のような恰好をしているにも関わらず、主人公と共に逃げていく。どうやら戦うのは自分ではなく部下らしいのだが、その部下に嫌われている模様。話しが進むと明かされていくが、彼を嫌っているのはどうやら直属の部下だけではないようである。
【物語について】
自称えらいメガネ男に謎の薬を渡され、あることを犠牲に強くなった(?)主人公。戦うスタイルは肉弾戦ではない様だ。翌日何とか学校へ行くことはできた主人公だったが、いくら食べてもお腹が減り眠気が収まらない。宿屋である自宅へ帰宅すると、一般常識とはかけ離れた格好をした女性がいた。それは昨日戦闘中に出逢った、自称エライメガネ男の彼を嫌っている部下であった。
彼女曰く、”しっかり食べないと死ぬわよ”。これは一体どういうことなのか?
主人公の身体に起きている異変とは?
局に案内してくれるという彼女について行った先は、ヴェルナスタ特務局、魔法(アルテ)の専門部隊<赤い頭(テスタロッサ)>という所であった。自称エライメガネ男はそこの局長だという。ここで主人公が犠牲にしたあることについて詳しく判明するのである。脳を支配されてしまった主人公。これは天国なのか? 地獄なのか⁈
【良い点(箇条書き)】
・お腹がすく理由が分かると、思わず”食べないと死ぬわよ!”と言っていたアーティスティックスイミング(元シンクロ)を思い出し、同じ運動力(消費エネルギー量)なのかと想像した。
・自分自身が戦うスタイルではないというのは観たことがあるが、自分の理想や煩悩が形になるスタイルは面白く、その原理に納得。
・初めはどうなることと思っていたが、主人公と先輩の間で信頼関係が築かれていく様子が良いなと感じた。
・二章では友人の視点から語られていくが、年相応らしい、無力な自分自身や周りへの葛藤が手に取るように分かり、辛いなと感じた。
・一章を読んでいる時は笑い主体の物語だという印象であったが、人はそれぞれ抱えているものがあり、主人公だけでなく別な人物にもスポットをあてているのがとても良いと感じた。
【備考(補足)】17ページまで拝読。
【見どころ】
一章では、主人公と戦闘で主人公の相棒になる人物(?)、そして先輩がメインになっている。その中で、戦いの仕組みや組織のシステム、国のことなど世界観についてわかって来る。二章になると、友人の視点から主人公の人物像が更に詳しく明かされ、友人の抱えていることも明らかになる。
人とはどんなに仲が良くても、本心が見抜けるわけではない。友人が主人公に対しどんな感情を持っているのか、どんなことを抱えているのか、それは友人の視点でないと分からないと思う。
他人の芝生は青いと言うが、主人公に対し憧れや嫉妬心を抱いてしまう友人は、主人公の大変さは知らない。知らないからこその疎外感もあるだろう。視点の切り替えにより、そういうものを表現できるのは凄いなと感じた。二章のあらすじを読むと、この友人は利用されてしまうことが分かる。そして、どうやら一話での敵が仲間になるようだ。この先の展開は読了部分の時点では分らないが、友人が自分自身の抱えているものとどう向き合い、乗り越えていくのかも見どころの一つだと思われる。
あなたもお手に取られてみてはいかがでしょうか?
この先彼らがどんな怪人に出逢い、また成長していくのか。その目で是非、確かめてみてくださいね。おススメです。
本作の舞台は、20世紀初頭イタリアをモデルとした世界に、魔法風味を加えたものとなります。その中心となる水上都市ヴェルナスタの日常風景が巧みな文章力で美しく描かれており、読まれた方はこの街に行ってみたい!と強く感じることでしょう。
4章構成となっており、すれ違う親子の絆や疫病との闘いなどシリアスな章もあれば、ドタバタギャグの章もありで、いずれの章もとても楽しませてもらえます。ひとまずここで一区切りのようですが、なかなか大きな風呂敷が広げられていますので、第二部以降の公開を楽しみにしたいものです。
見どころは何と言っても登場人物達の魅力ですが、その素晴らしさを語り尽くすことは難しいです。
主人公のリヴィオは、初期はほぼ一般市民なので頼りない平凡な少年に見えますが、次第に頼もしい姿が見られるようになります。特に親友レナートを助ける2章での活躍は必見です。
美女グリゼルダは、いわゆるイマジナリーフレンド(ラバー?)ではあるのですが、ただの妄想の人物とは訳が違います。彼女の秘密は、是非お読みいただいて確認してください。彼女にコロコロと手玉に取られるリヴィオ君を見ていると、ニヤニヤが止まらないことでしょう。
ロゼッタは普段ぶっきらぼうな物言いをしますが、中身はとても優しく面倒見も良く相当の切れ者であり、後輩のリヴィオをいつも支えてくれる頼もしい先輩です(私のイチオシです)。(外見も中身も)イケメンのジャズアルドとコンビで戦いますが、その炎を主とした戦闘描写はとても美しく、魅せる戦いと言えます。
他にも、どう見ても痴女だけど意外と義理堅い謎の美女、父との関係に思い悩む親友レナート、食えない上司のアルマンド、気風の良い母ダニエラや船頭のお爺さん、などなど誰も彼も個性的で魅力あふれるキャラ達ばかりとなります。
皆様もこの素敵なヴェルナスタにどうぞお越しください!
ふんぐるい むぐるうなふ とぅくだに!
これは、ふとした切っ掛けから理想の存在(幻像)と生活することになった、ごくごく普通の少年『リヴィオ』の物語です。
これを読んだあなたは、自分と同じく、その舞台である水上都市ヴェルナスタの美しさへと引き込まれることでしょう。
第一章は、主人公の理想像を投影した金髪碧眼の美女『グリゼルダ』、美少女先輩の『ロゼッタ』など魅力的な女性達を中心とした、出会いの物語。
第二章は、敵となってしまった主人公の友人『レナート』を倒すのではなく、真っ向勝負で『救う』王道熱血展開。
第三章はロゼッタの過去編となり、ヴェルナスタの人々を蝕もうとしていた『とある病』を食い止める、シリアスなお話。
第四章は、お食事邪神である『ト=リカーラ=ナンバン』や『ハルキャー=ベットゥ』、そして敵対関係である星間の翼『オー=バンヤキー』と炎の邪神『トゥ=クダニ』。
そして伝説の『ク=リト=マ=ッタクェ』まで参戦する名状しがたいお話に、少々のひよこを添えてお送りされております。
大丈夫です、ちゃんと主人公達も活躍しますよ。
笑いあり、感動あり、お色気ありのドタバタファンタジー。ぜひこの作品を『見て』、水上都市ヴェルナスタに『訪れて』みてくださいね。
本作は10万字で完結済みです。第27回スニーカー大賞に応募するために狙ってこの文字数で完結させたのでしょう。
風呂敷を広げ、必要なだけの世界観を描き、山場を作り、狙いすまして決められたボリュームで決着させる。
物書きの方なら分かると思いますが、これにはかなり技量を必要とするのです。
また内容に触れさせて頂くと、センスが光るルビが振られた、厨二的な名称の組織や技。そして戦いだけではなく食生活まで描かれているため、物語の中で確かに生きているように映る登場人物達。
執筆者さんは創作者として一定の水準に達しているように思いました。
完結済みですし、一話一話は短く、読み疲れたら途中で読むのを中断することも出来ます。
興味を持たれた方は一度、この物語を味わってみては如何でしょうか。
第二章読了後のレビューとなります。
某ヴェネツィアをイメージさせる舞台で活躍する魔法士の物語。
広義では異世界なのでしょうけれど、世界情勢や国家間のせめぎ合いは歴史や地理を学んでいれば、とてもわかりやすく頭に入ってきます。
とは言え、お堅苦しいお話ではありません。
さて、命の危機に瀕した際に「力が欲しいか」と問われればそれに縋ってしまいそうですよね。
でもキチンと対価があります。
呪われます。
「恋人ができなくなります」だそうです。
ま、死ぬよりはましか、と契約をしてしまったあなた、そこにはさらにとんでもない落とし穴が存在しております。
腹が減ります。
それだけではありません。
手にした力とは、潜在意識から抽出した性的欲求を具現化し、それを媒体として魔法を行使できるというもの。
そう、あなたの性癖にぴったり合う異性(とは限らない?)が顕現してくれるのです。
その存在は同じ「魔法士」同士で視認することも、とある方法で実体化することもできます。
あなたの性癖が、隠しようもなく開示されてしまうのです。
攻撃方法も、なにやら暗喩を感じさせます。
スタンド使い、サーヴァント、主人公と契約した不思議な存在と共闘する物語は数あれど、自分の性癖を晒して戦う物語は斬新の一言です。
ただ、主人公もその仲間もカッコいいのです。
自分もこの物語の中に入り共闘したくなるほどに。
いやまて、その場合どんな相棒が顕現するのだろう?
……もし、猫的ななにかが顕現したとすればヤバすぎです、私は名乗り出ずひっそりと余生を過ごす事でしょう。