Socond Game - 伏線リスト & 裏話 & あとがき
(思い出せる限りの伏線を集めて書き出してみましたが、拾い損ねている可能性もありますので、「これ何だったの?」という疑問があれば気軽にお尋ねください)
【伏線リスト】
・Chapter3事件後の藍の独白に出た【獣王】
→ここから子犬のキャラが作られた。ささやかな小ネタ回収。
・Chapter4の空澄の過去編に出た【聖女】
→ここから光花のキャラが(以下略
・フェイクスウィーツ(偽スウィーツ)
→ビタースイートの正体のミスリード。ビタースイートは元スウィーツの改造体。この違いはどこかの事件のトリックに使えるかと想定していた。
・魔王の世界では時間の流れが異なる
→ループ構造の仕掛けの根幹。単純に時間の流れを早めたり遅くしたりだけでなく、時間の流れをループさせることもある。(そのレベルまで情報解禁が至らなかったが)
・夢来は魔物としての本能から解放されていた
→香狐とは違う魔王の干渉の匂わせ
・佳凛は香狐のもとに居ついた
→放棄した伏線。Second Gameに佳凛や彼方を登場させるか一時期迷っていた名残り。
・殺し合いのルールの不可解な点
→初期プロットChapter5を参照
・ルール違反の罰が容赦のない処刑になっている、そもそも参加人数が少なすぎる
→ループによってゲームは永遠に継続されるため、一周の長さにこだわる必要はない。強いて言うなら、キャラクターが増えた方が展開パターンが増えていいとルナティックランドは思っていた。
・子犬が初邂逅時に見せた「不思議そうな顔」
→狐の耳と尻尾から、「こいつ話に聞くワンダーランドでは?」と疑われていた。自己紹介で色川香狐と名乗ったことで疑惑は確信に変わった。
・透意が度々、苦味を堪えるような顔をしている
→共感覚の伏線。ありとあらゆるものを味として感じ取る透意にとって、最低の不幸は最低の苦味に変わる。
・Chapter1の事件で子犬がナイフを所持していた理由
→一応は護身用。これの所持は光花にすら知らせていなかった。あの事件で子犬が[試練結界]に引っかかったのは、透意の不自然な警告からただの魔法少女ではないことを確信し、透意の殺害を決意したから。(その場で殺害する気はなかったが)透意が口封じに出る可能性を考え、反撃できるようナイフを背中に構えていたが、突然の死を迎えたことでナイフの所持が明るみに出ることになった。
・透意が子犬に見せていた怯え
→ループによって子犬に幾度となく殺されているという事実の反映
◇◆◇◆◇
【裏話】
・Second Gameは魔王同士での壮絶な殺し合いにする、というのが一案としてありました。要するに魔法少女と魔物の争いに終止符を打つ物語になるわけですが、そこに魔法少女がいないってどういうことなの……?と思い至り没になりました。魔王だけで十二いるのに、更に魔法少女を加えて人数バランスを取ろうとすると登場人物数がすごいことになるので。
・上にも少し書きましたが、Second Gameには彼方や佳凛を参加させる予定でした。しかし彼方はこれ以上の理不尽には耐えられないだろうと思い、不参加としました。佳凛に関しては罪の清算を描くために登場させたかったのですが、その罪の清算に関しても香狐を通して描くのが一番ドラマチックになるため結局不参加となりました。まあ佳凛に関しては、どうにかSecond Gameの打破に貢献させようと考えていたのですが。ちなみに、『前回参加者』という枠を食い合うことになるというのも理由の一つでした。主人公の香狐とミスリードの輪廻(外見上は夢来にそっくり)だけで十分なので……。
・これは言うまでもないと思いますが、Second Gameのテーマの一つは『狂気』です。First Gameは巻き込まれたただの魔法少女が大多数でしたが、Second Gameではキャラクターごとに意図的に暗部を設定しています。それを全員が踏み越えることで、狂気の打破を実現するというのがSecond Gameの筋書きでした。
・ちなみにキャラクターの暗部ですが、筆が滑った結果盛りに盛られた子が数名います。奉子が一番その影響を受けていて、初期想定ではあそこまでドロドロした子じゃありませんでした。それから栗栖も自罰傾向が強い設定ではありましたが、気づけば完璧に異常の域に達してました。どうしてこうなった。
・今更な情報ですが、Second Gameの魔法少女たちは基本的にスウィーツからの招待を通してスイートランドにやって来ています。元々スイートランドは、魔法少女たちへのご褒美として定期的に魔法少女たちを招待していたので、その招待のための仕組みがあったわけです。ルナティックランドはフェイクスウィーツを用いてそれを乗っ取り、目を付けた魔法少女たちに招待状を送ってこの殺し合いに参加させました。
・前回70万文字の問題編とかいう意味不明なことをChapter5でやったわけですが、今回は単純にChapter5内に全てを収めるか、あるいはFirst Gameに張った伏線をそのまま利用して今度は150万文字の問題編にするか、という両極端な案もありました。結局採用予定になったのはFirst Gameと同じく、Chapter1~4の中に伏線を収めるタイプでしたが。
・Second Gameの各話タイトルですが、最初は全部平仮名でやる予定した。しかし平仮名だと想定以上に文字の見た目がゆるふわ系になってしまうので没になりました。ドイツ語にする案もありましたが、僕自身ドイツ語は少し齧ったとはいえ英語ほど知識はありませんし、そもそも英語以上に誰も読めない言語で書いてどうするんだと正気に戻ったため、First Gameと同じく英語タイトルに訳を付ける形になりました。
・初期プロットに書いた通り、律の[因果逆転]は時間ループの原因、つまりは黒幕のミスリードとして使う予定でした。しかし律個人が[因果逆転]を使っても世界の全てを巻き戻すような出鱈目な行為はできません。無限とも言えるほど大量の魔力を一度に用意できれば話は別ですが、その場合も、そのままでは超高確率で術者が魔法を制御しきれずに暴発します。――つまり例えばですが、魔王に匹敵する魔力を持つ覚醒魔法少女が輪廻の力に十人分の魔力を結合させ、香狐の[物語再現]で[確率操作]を模倣し暴発の可能性を排除すれば……? Second Gameのサブタイトルである『甘美なる救済の大魔法』の意味の一つはこれを想定していました。他にも、ループに抗う力を与えた透意の[味覚伝播]、ループの幕引きのトリガーとなる[幻想書架]と[浄罪慈雨]、ルナティックランドとの最終戦で活躍する[聖光加護]、[聖獣召喚]、[探偵隠形]、[共鳴急行]、[混沌変化]、[試練結界]、そして輪廻の魂を繋げる固有魔法、全てを使って解放を成し遂げるという意味で、『救済の大魔法』というタイトルがつけられました。
・最後の裏話はとっておきの裏設定を一つ。魔王たちがそれぞれ一つの世界を支配する存在というのは既に明かした通りですが、実はその設定も一つの伏線でして。ここでプチ推理タイムといきましょう。ヒント①、支配者が明かされていない世界がまだ一つ残っている。ヒント②、その空席の世界の支配種族は何か。ヒント③、魔王が生み出す存在は創造主と類似する性質を持つ。ヒント④、魔王たちはなぜか全員、見た目に多少の魔物要素はあれど人の形をしている。これらが、世界に隠された真実に対するヒントです。――というわけで答え合わせとまいりましょう。実は、この世界には神と呼ぶべき存在がおり、その神は人間の世界を支配しています。そこで支配種として振る舞う人間たち、そして魔物を統べる十二魔王、これらはどちらもこの神が生み出しました。というより、魔物の根本的な正体は基盤となる魔法であり、十二魔王の基盤となる魔法を発動したのがこの神です。人型の神が人も魔王も作ったから、どちらも同じ人の形をしているのです。(この場合人の形というのは正しくなく、人も魔王も神の形をしているというのが性格ですが)ちなみに、十二魔王の中に神聖の国の主・セイントランドというのがいましたが、信仰心を体現したこの魔王ただ一人が神の存在を認識しています。セイントランドは神の信徒にして使徒であり、表の世界である人間の世界、裏の世界である魔物の世界、二つの世界の均衡が致命的なレベルで崩れた際に神をその身に降ろし、世界の再創造を始動させることが役目とされていました。この設定はこの先マギア・ミステリーを永遠に書き続けるなら利用するつもりで、半ばここまで書くのは無理だろうと思いつつ設定しましたが、本当にそうなってしまいましたね……。
【あとがき】
というわけであとがきです。とはいえここまでの物語と裏話で情報は全て吐き尽くしてしまったため、作者個人の言葉を少しだけ綴って締めさせていただきます。
マギア・ミステリーは最低限二つのデスゲームを以て完結するというのが初期構想だったため、完走できなかったのはとても無念に思います。しかしFirst Gameの時点であそこまで面白いものが書けるとは僕自身予想外で、これはひとえに応援してくださった読者様方のおかげだと思っています。皆様に推理や感想をいただきながら執筆する中で、どうすれば面白くなるかということを強く意識させられ、今までの自分であれば届かなかったであろう領域まで至れたような気がします。
最後にお礼を。直接の応援の声の有無にかかわらず、First Gameの初めから応援してくださった方々、First Gameの途中からでも応援してくださった方々、Second Gameからでも応援してくださった方々、この先の未来でここまで読んでくださる方々、全てに無上の感謝を捧げます。
――作者、白柳 祈梨
マギア・ミステリー 魔法少女たちが綴る本格ミステリーデスゲーム イノリ @aisu1415
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます