完全に覚醒した時、はたして主人公の人格は本人のモノなのだろうか?

いわゆる寝取られモノ。ただ、魅了など裏切り行為の免罪符ともなるスキルやギフトは出てこない。主人公の幼馴染にして恋人だった元カノは、貧しい日常や単身出向中の不安から、愚痴を聞いてくれる新人ギルメンの間男に流されて浮気がスタート。主人公の不在中、いつものように間男と励んでいたところへギルドをクビになった主人公が帰宅し、言い訳のしようがない状態でご対面して破局。この一連の流れが地味で、変にドラマチックでないところがリアル。なんとなく昔の昼メロを思わせる。世界観に絡む伏線も、小出しではあるけど丁寧に書かれていると思う。本人の記憶を対価に望むモノと交換したり、創造するという設定も斬新。あえて言えば、寝取り男は物語にとっては初期の通過点でしかないという扱いで、溜飲を下げられるようなハッキリしたざまぁも無い。強いて言えばデウスエクスマキナ的代理処罰?読者の求めるカタルシスがざまぁにある場合、かなり消化不良に感じるかも知れない。

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