まるで小泉八雲が記したのかと思うほどによく出来た(などとエラソーに言いたくなる)怪談だった。 観音様が優しい顔にならない理由もしっかりとした理由づけがあり、そこにマイルドとでもいえばいいのか牧歌的な怖さがある。 漱石の引用も、これは運慶の仏師としての腕前を、漱石が見てきたかのように想像して書かれた一幕であり、怪談という不明瞭さやこの話自体に利いていてニヤけてしまった。小品ながら富んだ読み心地。好きです。
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