第18回 オッケー、さぽぱす(カクヨムサポーターズパスポート)ね、把握した
寅衛門「なんとなくだが」
寅吉「お、このシステムを理解しましたか」
寅衛門「うむ。つまりは動物園と同じことだ」
寅吉「は? いや、我々は猫ですが、カクヨムを使っているのは人間ですよね」
寅衛門「サポパスは、そもそも読者のためのシステムだ」
寅吉「読者のため、とはいえ、有料なんですよね」
寅衛門「言い方を変えると、読者をターゲットにした集金システムだ」
寅吉「そっちの云い方の方が分かりやすいですわ。ははあ、カクヨムにアップされている小説を読むためには小銭を払わんとあかん、という体制に移行していくんですか」
寅衛門「現在、中国や韓国ではそのような有料のシステムが主流だという」
寅吉「ああ、この間、KADOKAWAは中国企業と提携しましたね、そういえば」
寅衛門「規模はかなり違うが、決まった金額を払えば映画も本も雑誌もマンガも見放題というAmazonのPrimeサブスクも同じ考え方で構築されている」
寅吉「それが現在のグローバススタンダードなんですよね」
寅衛門「そもそも創作物に対しては、相応の対価が払われてしかるべきだよな」
寅吉「たしかに。けれど日本の文化はどうもその辺り、対応に立ち遅れている感じがあります」
寅衛門「なるべく多くの創作者に対価を分配する、ということは、多様な創作物を市場に供給し続ける、という、胴元にとっての利益を保証することになる」
寅吉「それでカクヨムが一括して金を集め、ある比率を持って作者に分配する、という社会主義的構造になっているんですねえ。……独裁主義とも言いますが」
寅衛門「基本、サポパスに作者側は参入しなくていいと思うぞ」
寅吉「カクヨムの作者はあくまで創作者であり、サポートしてもらう立場である、ということですな」
寅衛門「作者と読者の区別が、これから明確にされていくのではないだろうか」
寅吉「……で、さっきの動物園発言ですが」
寅衛門「例えば動物園の猿山を例にしよう。来園者は入園料を払って動物園にやってくる。そして猿山の猿を見て面白いと思うわけだ。けれど猿は猿で、世話をしているのは飼育員だ。餌は来園者が払った入園料を集めた動物園の運営費からねん出される。ふれあいおやつタイムなどの例外を除き、猿は直接来園者から利益を受けることはない」
寅吉「ああ、飼育員がカクヨム運営で、猿が作者達ですか……」
寅衛門「その存在が動物園の収益につながるのだ。毛並み良く、ウケのいい動作を覚えることはすなわち、面白い作品をアップし続けることと同様だ。作者のコミュニティの様子もまた入園者の興味を惹くだろう」
寅吉「なんか悲しくなってきましたな。そっか、動物園の動物か……」
寅衛門「資本主義はそんなもんだ。カクヨム運営がギフト受け取りを作者に推奨するのは、だから当然だな。逆にギフトの受け取りの拒否設定は、ネトゲで言うところの無課金勢ということになるのかもしれない」
寅吉「無課金勢とは金銭のやり取りなく、タダでゲームを楽しむタイプのことですね」
寅衛門「ここの作者はパズドラで無課金勢を貫いている」
寅吉「ゲームも創作物ですよね。どうなんでしょう、"創作物"に対価、払わなくていいんですか?」
寅衛門「そういう話になるよなあ」
寅吉「そうですよ」
寅衛門「デジタルデータや無形文化に金銭価値を見出そうとしない、タダで楽しもうとする今の日本人の認識は、今後次第に変わっていく必要がありそうだ」
寅吉「ああでも若者の間には投げ銭文化がかなり根付いているようじゃないですか」
寅衛門「となると、しぶるのはおっさんおばさんばかりか……」
寅吉「で、ここの作者はパズドラにいつ課金するんですか?」
寅衛門「石油王がサポパスでギフトくれたら考える、と、ここの作者はいっている」
寅吉「羊頭狗肉という言葉が浮かびました」
寅衛門「それだな」
寅吉「あかんですね」
寅衛門「とにかく、今後カクヨムで作品を公開していく作者に必要なこと」
寅吉「それは」
寅衛門・寅吉「キュートにキメて、媚びまくれ!」by 『ペンギンズ from マダガスカル』
寅衛門「以上だ」
寅吉「……資本主義社会ェ」
*“サポパスはスルーしてギフト受け取り設定ON”が、カクヨム作者のデフォルト設定になるのかなと思います。
*関係ないですが(いや関係あるのかな)、マダガスカルというアニメは私のお気に入りです。特にスピンオフのペンギンズという本家を食ったシリーズが面白いのです!
[ペンギンズ FROM マダガスカル インターナショナル予告第2弾(公式日本語字幕)https://www.youtube.com/watch?v=ppIqPQwz-ZE ]
虎猫の巣 葛西 秋 @gonnozui0123
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