エピローグ

 大好きなおじさんへ。


 お元気ですか?と尋ねるのもおかしなことかとは思いますが、いかがお過ごしでしょうか?私は元気です。


 まだおじさんみたいに上手にはできないけれど、料理はママと一緒に頑張っているので前よりずっと上手くなったかと思います。どうか心配しないでください。


 もうご存知かとは思いますが、今日は太郎さんとレベッカさんの結婚式でした。場所はなんと、昔おじさんと偶然通りかかった式場と同じ場所です。今回は狐の嫁入りにはならなかったようで一安心です。


 おじさんにも二人の晴れ姿が見えていたでしょうか?太郎さんは立派な分隊長というのになり、レベッカさんは結婚を期に家庭に入るそうです。ドレスがとても素敵でした。


 それから、レベッカさんの投げたブーケがカコさんの手に渡ったことが結婚式で起きた面白かったことです。報告事項としてはこんなところでしょうか。


 結婚式を見ていたら、いつかは私も素敵な結婚式を挙げる日が来るのかな?なんて想像をしてしまいました。


 相手は…。

 彼次第かな?


 ヴァージンロードを歩く時、おじさんが隣にいてくれないのは悲しいけれど、その時はどうか見守ってください。


 大丈夫、私はちゃんと幸せです。


 毎日充実しています。


 すっかりみんなのお姉ちゃんになりました。


 髪が伸びて、おじさんと同じように結べます。


 それでは、また来ます。


 その時はまたお話聞いてください。



 あなたの娘、ミクより。




「もう、いいの?」


「うん… ベルは?」


「いいよ、もう済んだ」


「じゃあ、帰ろっか?」


「うん」



 旧ジャパリ図書館跡。

 そこにあるいくつかの墓石… そのうちの一つがかつてシロと呼ばれ、その百年後にネコマタと呼ばれた男の墓である。


 史上初であるフレンズとヒトのハーフ、類い希な存在。


 壮絶にして壮大な、そして幸せだった人生を生きた男である。


 彼はいくつもの善行を積みながら、多くの罪も残してきた。

 彼の罪が消えることはないが、同時に善行も消えることはない。


 ある人は「あんな奴」と言うだろう。


 だがある人は「素晴らしい方」と言うだろう。


 もう、彼はいない。


 彼はいないが。


 彼を語り継ぐ誰かは。


 まだどこかにいるのかもしれない。

 


        おわり

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老猫 気分屋 @7117566

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