7 無限の闇の中、白痴にして盲目の魔王を待ちわびること。

私は暗黒の空間にいた。


昼も夜もなくただ無限の闇だけが広がる。上も下も前も後もなく、いずことも知れぬ場所に向かって――あるいは到達する場所もなく――漂い続ける。

あまりにも長いこと、何もなく何もせず、ただ存在しているだけだったため、いつしか考えることも愚かしく思えてくる。


そんな中、私に残された存在意義ともいうべきなのは、呼吸器の痕跡である管から微かで単調な音色を奏でることだけだった。


何もない無の空間の中、私の仲間が同じように漂っているのを見かけることがある。

あるものは私と同じように呼吸器の代わりに伸びた管を使い呪わしくかぼそい音色を伴った吐息を漏らしていた。

また、あるものは歪に残った腕を震えるように動かし、硬質化した体を打ち鳴らして、痛ましい殴打のような音を狂ったように響かせている。


曖昧でおぼろげになった視覚や聴覚だが、なぜか仲間たちには敏感だった。


そうしてただ無意味に過ごす我々だったが、ただ一つのことを待ち望んでいる。我々はこの暗黒の空間を支配する王が目覚める時が来ることを知っていた。


沸騰する混沌の核、白痴にして時空のすべてを統べる万物の主。現実という夢を見て、心地よい眠りのままに宇宙のすべてを産み落とし、あらゆる生命に苦痛を強いる存在。

私が地球にいたのも、地球にいた人間たちが苦しみ続けるのも、すべてはのものの夢のままだった。


我らが暗澹たる魔王が目覚める時こそ、私と私の仲間たちはその忌まわしき音色と痛ましい殴打を宇宙中に響かせることだろう。


それだけが我々の使命であり、ただ一つの願いであった。

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顔のない人々に関する考察 ニャルさま @nyar-sama

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