第5話 契約
昔からお前はすごいやつだった。
何事も恐れず誰とでも仲良くなって例え大人相手だって一度たりともその正しさを曲げなかった…だからずっと心配だった。
もしお前が折れてしまったら誰がお前の支えになるのか。もしお前が挫けてしまったら誰がお前に寄り添えるのか。もしお前が泣いてしまったら誰がその涙を拭ってやれるのか
きっとお前はそれを聞いたら
「大丈夫だよ。私は絶対に折れたりしないから」なんて言って笑っているのだろう
だから決めたんだ
お前の隣に立つに相応しいその誰かさんが見つかるまで俺がお前の隣にいると
もしお前が折れたら俺が支えると、もしお前が挫けたら俺が立ち直るまで傍にいようと、もしお前が涙を流すなら俺が拭ってやると
これはお前にすら話した事のない俺が勝手に決めた事だ。だから…だからこそ…
「…助け…に来た…ぞ」
あぁ助けてやるさ。いつもみたいに
「レイ」
「…なん…で…」
「そりゃ…大事な幼馴染が…ゲホッ…泣い…てたらさ…助けに…来る…だろ…?」
「っ!!」
レイは慌てて目を擦って
「だ、大丈夫だよ。ちょっと目にゴミが入っただけだから。泣いていたわけじゃないよ」
「目元が腫れてるし床にも跡がある。泣き声だって聞こえてた。」
「っ…それでもこれは涙じゃないっ…涙なんかじゃないんだ。」
「……………」
「…私が勇者が泣いたらきっと皆んなも泣いちゃうからだからっ!だから私はッ!!もう泣いちゃ…!!
俺はレイの体を抱きしめた
抱きしめたレイの体はまるで真冬のように冷たくて、震えていた。
「いいんだ。今は、今だけは、大丈夫だから…ここには俺とお前だけだ。誰も見てない。ただの幼馴染二人しかいない。だからいいんだ。今だけは泣いても。」
「それでもっ!!私はっ!!
「お前が辛いなら俺も半分背負ってやる!お前が悲しいなら俺も一緒に泣いてやる!だから…頼むから、一人にならないでくれ!」
「…うっ…ぐすっ…ひっぐっ…ぁ…うわぁぁぁぁあぁぁ!!!」
「辛かったよな。苦しかったよな。ごめんな。大事な時に一人にして…これからは、一緒に背負ってやるからな」
それから少しするとレイは泣き止み
「…………………………殺して」
「…………はいっ?」
「いっそ殺して!?いい歳して幼馴染の胸で泣き喚いくなんて恥ずかしくて死にたい…」
「……ぉ…おう」
羞恥心のあまり死にそうになっていた
さらに数分後
「いい加減落ち着きましたか?」
「…はい」
「ならよかった。助けに来た幼馴染が自殺なんてしちまったら本末転倒だからな」
「はい、すみません」
「ん」
「んんっ…そ、それで私を助けてくれるってどうやって助けるの?もう勇者にならないはできないよ?」
「そこら辺は大丈夫だ…と思う。まぁ賭けにはなるけど…」
「賭けになるってどう言う事?…もしかして何か危険なことを!?「違うっての」ゴンッ
泣き喚いたせいかポンコツが酷くなった幼馴染にゲンコツをお見舞いする
「いった〜」
「これだよ」
そう言って俺は天啓の書を取り出した
「それって天啓の書?どうしてカイが持ってるの?」
「訳あってある人がくれたんだ。あの人は本当流石だよ。俺がここに行くって見抜いて後押しまでしてくれた」
「そっか」
「さて、そんじゃやってみますかね」
天啓の書を開き右腕の抉られた部分から血をぶっかける。本来は針で傷をつけて指先から一滴垂らすくらいなんだが…まあ多くても問題ないだろう
天啓の書が輝き文字が浮かび上がる。
そこには
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カイ・ブラック
真名 封鎖中
種族 人間?
適性職業 呪剣士
装備
双刀(左、????? 右?????) ボロボロの服
??神?眼(左眼)
保持スキル
神血 双刀術 神血呪術 輝石魔術
状態
女神の祝福(呪い) 双心の契約(仮)
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「…えっなにこれ怖」
何、女神の祝福(呪い)って俺女神様に祝福(呪い)されてんの?
それに適性職業が呪剣士って…
ていうかそもそも呪剣士ってなんだ聞いたことすらないぞ
後、なんか左眼がおかしな表記になってるし…
そう心の中で愚痴った瞬間、また天啓の本が輝き出した
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呪剣士
呪いを自在に操り戦う剣士
身に宿した呪いを操る型と自ら呪いを付与する型がある
魔剣士と同一視されるが別の職業
女神の祝福(呪い)
カイがこの世界に転生したときに女神様が授けた祝福(呪い)
効果 呪い無効化、呪い強化、選定の呪い
⁇神⁇眼
神????つである金色の瞳に呪????混ぜ込み変質させた物。こ??瞳に完??に適応したものは????を見???し????をを呪????変え操る力を得る。こ??世界に転生する際に女神様が⁇??左眼から作り出しカイに埋め込んだ
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詳しい説明出てきた〜(^^)
…じゃねえよ!?なんだこれ!?
もう一度言うぞ!なんだこれ!?
呪剣士の方はまだ理解できたよ!!
ただ後の二つはなんなんだ!?
いやなんかこっち来る時に女神様から目を瞑れとか言われて目を閉じたことあったけどさ!?それがこんなだと思わないじゃん!?
あ〜もうこれどうすんだよ!?
「やっぱりカイはすごいね」
ハッとなって前を向くとそこには良い笑顔のレイが俺の前に立っていた
「どう言うことか説明してね?」ニコッ
拝啓、画面の前の皆様。
二月なのにまだまだ寒い中どうお過ごしでしょうか?かく言う私は助けるはずの幼馴染に殺されるかもしれません
隣の勇者(幼馴染)が死にそうで怖い!? 黒いヘアピン @kctonki
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