#11 午前零時、埠頭にて死す。

俺ァ、車をすっ飛ばした。


パトリック・ラシター…


あー…バカバカしい。クソッタレが!どいつもこいつもォ!


奴に言われた通り、


埠頭に着いた。あの野郎、


階段のてっぺんで、ジェニファーの頭に銃を突き


つけてた。ニヤけた面してな。クソッタレが。


「おいパトリック、来てやったんだから茶ァぐれ


ぇ出せや。」


「そんな口叩けンのも今のうちだぞ、オッサン。」


「なんでもいいからジェニファー離せや!」


「銃をコッチに投げて、手を挙げて膝をつけ!」


癪だが、言う通りにしてやった。奴ァカンカンと


音をさせながら階段を下がってこっちへきた。


「ほら、見やがれ、言う通りにしたぞ!


ジェニファー離せ!」


パトリックはジェニファーを俺のいる方へ蹴飛ば


した。


安心したのか、涙でぐしゃぐしゃになりながら俺


に抱きつくジェニファー。


「あの世で、親父さんによろしくな。」


やつは俺とジェニファーへ銃を向け、撃鉄を引い


た。


ズドン!銃声が埠頭に響いた。


…あーーあ。たっかそうな、おスーツが台無しで


すねぇ、パトリックさぁん。


え?銃持ってるかもしんねぇヤツんトコに行くの


に丸腰で行く訳ゃねぇだろ?


大体、こういう場合、銃ってのァ2丁持ってくのが


筋ってもんよ。


…何だ、その眼は?


まぁ、俺らがドンパチやってる間に、俺ん家で


のたうち回ってやがるジェラルドは、晴れてお縄


を頂戴することになり、コチラでおねんねして


らっしゃいますパトリックさんは


…あ、そうだ、



コイツね、パトリック・ラシターってのァ偽名


で、本名…えーっと、


そうそう、ジャック・ウォーカー。強盗殺人で逮


捕されったのを、ブルトンのバカが脱獄させて、身


分を偽装させてやって、


俺に近付けたってことらしいよ。


後で本物のパトリック・ラシター刑事が


教えてくれたんだわ。


いやぁ、いい人そうだ、本物の方が。


そう、ジェニファー!…俺が引き取るっつったん


だが、親戚に引き取られることになるんだそうだ。


この話、何が1番胸糞悪ぃって、1番罰を受けにゃ


ならんはずのジョー・ブルトンになんのお咎めも


なしってのが気に入らねぇ。


証拠がなんもねぇんだと。


クソ喰らえってんだよ。


…まぁ、悪ぃヤツにゃいつか天罰が下りますわ。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


何日かして、バンドの練習も再開。


ジェニファーからの手紙も届いた。


どうやら、親戚と上手くやってるらしい。


久しぶりに、いい気分で、1杯やって帰ると、家の


前に誰か立ってんだよ。


こないだの事もあるんで、用心してそいつに近付


いた。


よくよく見ると、絹みてぇなブロンドの髪に、


花柄のワンピース…手にゃピンクのバッグ。


夜中の街灯に照らされなくとも、よっく見えるその女…おいおい、勘弁してくれよォ。

┉┉┉┉┉┉┉┉┉fin┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅┅

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

Soulcode(上) マシロカネミツ @Pomtaouji

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ