#10 煙草

『何しに来た?悪いが、今構ってる暇ァ…』


訳が分からねぇ…何でこいつが


此処に居るんだよ。


『ちょっと、片付けにな。』


その手にゃ、確り、銃が握られてたよ。あーあ。


「…察するに、俺を片付けに来たわけか?』


『お前もジョニーも、先生の邪魔をするからこう


なる。」


「先生」?…ケッ。そういう事かい?


『なぁ、だったら、煙草、吸わせろ。1本。良いだ


ろうが、あの世じゃ吸えるかわからねぇ。』


俺ァ、煙草に火をつけ、味わった。


ポケットに手ぇ突っ込んで、取り出した…銃を。


奴の腕に1発。それでも撃ってきやがったんで肩に


1発。


奴が仰け反ったところを押しやって部屋を出た。


這う這うの体で、車にキーを挿し、電話をかけ


た。


「あー、パトリックさん、ジェニファーは一緒


かな!一緒じゃねぇとマズイんだがね。


聞いたらかけ直してくれ。」


1秒しねぇでかかってきた。


だが、その声は、パトリックじゃなかった。


「助けて!」


…俺ァ自分の行動を後悔したね。


ジェニファーに代わって、電話口からパトリック


のクソ野郎の声がした。


「やぁ、ブロゾンさん、返してあげるから


1時間以内に


あー、埠頭までおいで。1秒でも遅れると…」


銃声が1発、ジェニファーの悲鳴が、電話の向こう


から聞こえた。パトリックのゲスな笑い声が聞こえた。



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