第5話
私とウィリアムは魔法使いの小屋に戻ると、魔法使いの前に籠を差し出した。籠の中には、言われた薬草以外にもたくさんの花が入っている。いい香りが部屋中に立ち込める。
「いわれた材料はそろえたぜ」
ウィリアムが自慢げに唇をあげて、私の方を見る。私も笑って大きく頷いた。
魔法使いは満足そうな顔をしている。
「そうですね。よく頑張りましたね。龍の涙ももらってこれたし、ほほう……今回は
わざとらしく魔法使いが
「それはね、お姉さまとウィルとジョルジュにポプリを作ってあげる材料にしようと思って摘んできたの。いいでしょ?」
「それはいいことを思いつきましたね。早速ガラスの瓶を用意しましょう。ですが、媚薬はもういらないのですか?」
「う……ん。うん、もういいかな」
「ウィリアム様は?」
「オレも、今のままでいいかな」
「そうですか。……だそうですよ。」
魔法使いが奥の部屋に向かって声をかけた。部屋から出てきたのは、お姉さまとジョルジュ。
「お姉さま!!」
「アンジェリーナ!!」
私は、お姉さまの腰に手をまわして、お姉さまにぎゅうっと抱き着いた。お姉さまも私をぎゅうっとしてくれる。
――大好き! 大好き! 大好き!!
「お姉さま、ごめんなさい。そして大好き!!」
「アンジェリーナ、私も貴女が大好きよ」
「俺も、媚薬がなくたって、アンジェのことが大好きなんだぜ」
「うん。ごめんね。ジョルジュ。私……」
「ねえ、アンジェリーナ、今日の貴女の冒険の物語と、お友達の話を聞かせてくれない?」
お姉さまが優しく私の頬を触った。私はにっこり笑って、ウィリアムの方を見た。
そして、ウィリアムの手をひっぱってお姉さまとジョルジュの前に連れ出した。
ジョルジュがふふふっと笑っている。ウィリアムも照れて頭をぽりぽり掻いている。
「あのね……、今日ね……………」
おしまい
◇
そののち、ジョルジュとクリスティーナは結婚して、隣国に住むことに。
ウイリアムとアンジェリーナは今日も魔法使いの家で勉強したり遊んだり、大忙し。
この二人の恋物語はまたべつの物語ということで。
媚薬が欲しくて魔法使いの小屋にいきました 一帆 @kazuho21
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