人体学校 一年一組
雪うさこ
第1話 ぼく脾臓(ひぞう)です。
今日からぼくは、人体学校の一年生。真新しい茶色のランドセルはぴかぴか光っていて、かっこいいんだけど……。なんだか学校に行きたくない気持ちでいっぱいだった。
ぼくは「
——
——どうやら、ぼくは他の
だけど……本当のことを言うと、ぼくは自分のことが一番わかっていない。だからこそ、学校で勉強しなくちゃいけないんだろうけど……正直に言うと学校にいっても
暗い気持ちのまま、学校に
「おはよう。
「お前だれだっけ?」
「ぼく
「あ、そうだった。そうだった~」
「おはよう。
ぼくの名前を
「お、おはよう。
「
「ちぇ、うるせえなあ。仲間にすんなよ。こんな暗いヤツと。おれまでカビ生えそうだ!」
「
***
教室に入ると、他の
「おはよう。
自分の席に座ってから、そんなことを考えていると、ぼくの目の前の席に
「お、おはよう……」
「うふふ。
ピンクのランドセルを下ろして笑う
一年一組の
「静かに。みんなそろっているかしら?」
よく通る声に、教室の中は静かになった。
「昨日は入学式お
「はーい」
先生の言葉に教室の中は「はーい」の大合唱だ。
先生の話は
「それでは、まずは
「え! ぼくですか」
「そうだよ。お前。一番不安そうな顔しているからな」
一番だなんて。どうしよう……。みんなの笑い声がこわかった。体がぶるぶるとしてくるけど、みんながぼくを見ているんだ。やらないわけにはいかない。
ぼくは仕方なく、足を
「えっと。あの。ぼくの名前は
「け! 役立たず。お前、生まれる前は赤血球作るくせに、生まれちゃうと作れないんだろ~。意味ねえじゃん。このサボりやろう!」
教室中がざわめくのがわかった。
——そうなんだ。ぼくはそんなに役に立たない。
からだじゅうに
ぼくはその古くなった赤血球や血小板を
病気によっては、ぼくは
どうしたらいいのか、わからない。余計にぶるぶると
しかし——。
「こら。
「だって、こいつがいなくても他の場所でも十分足りるじゃねえか」
——そうなんだ。他の
知ってはいても、こうしてみんなの前で言われてしまうとショックで、からだじゅうが青ざめた。しかし、
「
——そうだったんだ。
「はい、先生」
「だから、そんなに自信なさそうにするんじゃないよ。お前には立派な役割がある。お前がいなくなった場合の
「
「——え!」
ぼくはなんだか
——そっか。ぼく、いらない
少しだけど自分のことを知れたことがうれしくて、ぼくは下を見ていた。まだ始まったばかりだけれど、なんだか少しだけがんばれそうな気持になった。
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