第3話 遊具争奪戦
キーンコーンカーンコーン——……。
チャイムが鳴った。ぼくたちは急いで教科書を
「あ、待ってよ~。
後ろから
「ごめん! 先に行ってるから、ゆっくりきて!」
ぼくの足は
息を切らしながら
——今日こそは! ブランコに乗るんだから!
そんな期待に
「今度は、わたしね~」
「次はぼくだよ」
ブランコの目の前には、白い小さな物がずらーっと
——負けた。今日も、負けた……。
「
ここのところ、
ここ最近、
ぼくの後ろに
「え~。また
「ほんとだ」
二人の声が聞こえたのか、ぼくの目の前の
「なんか文句ある? ぼくたちだって、ちゃんと
「でもね。
ぼくの言葉に
「あのねえ。ぼくは右第二
「え? え?」
右第二
「私は左第二
「ぼくは右第十二
次々に
「ね、ねえ。君たちは全部で何個いるの?」
「ぼくたちは左右十二本ずつ。全部で二十四本いるんだから。みんな少しずつ形が
「そうそう。第七
右第十二
「一人じゃなにも出来ねーくせによ」
ふと列の後ろから
「な、なにを~!」
「そうだぞ! 図体ばっかりでかいだけじゃないか! ぼくたちのおかげでお前たち
「どうしたの? なに?」
「
「えー。ひどい! なによ、わたしたちはみんなで協力をしてからだを支えているのよ。わたしたちがいなかったらフニャフニャしたタコみたいになるだけじゃないの」
「そうだよ、そうだよ。ぼくたちが
「へえ~。そうなのかよ」
右第十二
「勝負だ!
「え? え? ぼ、ぼく?」
「お前も、お前も、お前も、お前も!」
右第十二
「勝負って……」
ぼくの後ろで小さくしぼんでいる
「放課後、校庭に集合だぞ! どっちがすごいか勝負をするんだ」
「けっ。そんなのおれたちが勝つに決まってんだろ」
——
そこでチャイムが鳴り出した。先生が大きな声でぼくたちを
「授業だぞー! さっさと戻りなさい!」
ぼくたちはシブシブと校舎に向かって歩き出した。
これは大変なことになったみたいだ——。
1年1組
給食、食べられるかな?
——どうなるんだろう?
ぼくは重い足取りで教室に入った。
つづく
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