第2話 給食の時間
ぼく、
今日は初めての給食で、みんな
「それでは、これから給食の時間になる。それぞれ
——みんな食べるものが
給食当番の子たちが配る箱を見つめて、なんだか、からだがドキドキした。その箱は大きいものあれば小さいものもある。箱の上にはぼくたちの名前が書いてあった。
みんなに箱が行き
「おいしそう」
思わずヨダレが出そうになって、あわてて口元を
となりの席のカラダノ
「わ~。なにそれ。おいしいの?」
「え、おいしいよ。これは赤血球と血小板で……」
「あ、そう」
カラダノ
「な、なあに? それ」
「これはね。
「へ、へえ……おいし、そうだね……」
本当はおいしそうだなんて思えないけど、そう言っておいたほうがいいのだと思った。それからぼくは、後ろの席の
「
「ぼ……ぼくは……——」
「え?」
「なあに?」
ぼくも
「それ、なあに? ウンチの色みたい」
「
「へえ。
「た、
「すごいね! それをキミが貯めておくんでしょう?」
「そ、そうなの……」
「こらあ!
ぼくたちは
「別にいいじゃねえかよ。うちの父ちゃんたちは酒、飲んでるぜ?」
「
先生はそういうと、みんなに向かって声を上げた。
「みんなもそうだぞ。キミたちはまだまだ子どもだ。大人の
——まだまだぼくたちは子どもだっていうことか。
「酒は水の部分は
先生の言葉に、
「そうそう。お父さんもお母さんも。お酒が入ってくると仕事が
「そうそう」
二人の話を聞きながら
「残った中身はそのまま
「そんなのは父ちゃんから聞いてるって」
「じゃあ、お前はそのアセトアルデヒドを体に悪さをしないものに変える力があるのか?」
「そ、それは少しはあるよぉ」
「そうだ。少ししかできないんだろう? ——お前のお父さんやお母さんみたいに、アセトアルデヒドを人間に
——え! お酒ってそんなにこわいの?
ぼくは
「アセトアルデヒドという物質は、からだに残ると
そこで自分の名前が出た! とばかりに一番後ろの席の
「気持ちが悪くなって
教室中がざわざわとなった。
「お酒って、そんなにこわいの?」
「子どもには絶対ダメよね?」
「もし、入ってきたらどうすればいいの?」
大さわぎになってきた教室だけど、
「——と、いうことがあるからね。
「ちぇ!」
そして目の前の席の
「ひやっ!」
と
「ともかくだ。みんなはこれから大人になる。キミたちに必要なものをしっかりと食べて、ちゃんと大きくなれるようにしなくてはいけない時期だ。給食はただの楽しみではなく、自分たちを作る大切な時間だと思って大事にすること。
今日食べたものがすぐに栄養になるわけでもないんだ。一か月後、半年後……みんなの
「はい、先生」
ぼくも大きくうなずいた。
——ぼくは
他のみんなも同じ気持ちなのかも知れない。自分の目の前の箱に入っている給食をだまって食べ始めた。
それにしても学校の給食はおいしい。お母さんの用意してくれる赤血球よりもおいしいんだ。
——そうだ! ぼくの好きな教科は給食にしよう! 決めたもんね。
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