サスペンス性の高い大量殺人テーマの本格ミステリ

周囲から隔絶され、かつて村民が大量死した廃村に、とある事件の関係者10人が避難することになるが、そこで再び連続殺人事件が勃発。
一人、また一人と殺害されていき・・・というストーリー。

展開が早く抜群にリーダビリティが高いため、一気に読み進めました。
が、全体の内容としては、本格ミステリというよりサスペンス小説に近い「そして誰もいなくなった」のようではなく、ガチガチの本格ミステリです。

本作でも複雑極まりないプロットを手際よく収束させる手腕は健在で、その確かな腕前には脱帽するしかありません。

ただし、大量殺人を支える動機としてはいささか弱いと感じましたが、総じて極めて巧緻な逸品で、作者の実力を堪能しました。