長い黒髪の若い女性ばかりを狙うストーカ-連続殺人がテーマです。五人もの犠牲者が出てしまい事態が紛糾する中、満を持して名探偵:榊原氏が登場。まさに快刀乱麻を断つがごとき怜悧な推理力で、真犯人を特定していきます。既読の「イキノコリ」や「魔法少女は高笑う」よりは本格ミステリ濃度は薄めですが、細かな手がかりをつなぎ合わせて、論理的に犯人の実像を暴いていく様は榊原氏の独壇場。真犯人が特定されて以降はややミステリのしての吸引力は弱まりますが、真犯人の心の闇に迫っていく過程は読みごたえがありました。