最終話 鐵斬斗は動かない
死体となってからは思考というものはなく、ただ悠久の時に身を任せながら沈み、流されていた。すると煩わしい通知音が俺を深い眠りから醒ます。どうやらようやくネットに投稿していた俺の、いや俺の弟の物語に感想が憑いたようである。
〈えええええ斬斗君死んじゃったんですか⁉⁉⁉ ひそかに推してたのにショック すぎる……。復活しますよ……ね……? いや、復活するって信じてますからね!!!!!〉
次の日、俺は復活することになった。神はうきうきと弟がピンチになった時に颯爽と現れる俺のシナリオを書いている。やはり神というのは下劣で下等なベタ塗族だ。俺は好き勝手に死ぬ自由すら与えてもらえないのだ。しかし、一度も顔を見たことの無い弟と話せるのは楽しみでもあるので、せいぜい復活するまでの間を休暇と思って、死体としてそこらに沈み、流されていることにする。ありがたいありがたい。
鐵斬斗は動けない 備成幸 @bizen-okayama
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