第2話



家から出て、超特急でバス停まで向かう




視界を横切る木々や家を無視し


走り続ける




バス停に到着するとギリギリまだ間に合ったみたいで


私はバスに乗り込もうとしていた老人を押し退け

バスに乗り込んだ




バスに入ると一番奥の四人席に私の親友である美玖みく

スマホをいじりながら腰をかけていた




私は美玖の元へ駆け寄り

「おはよう」

と挨拶し、隣に座る。




美玖は顔を上げて私におはようと返した




私が自分のリュックサックから手鏡を用意し

片手で髪型を整えていると、美玖に昨日のテレビは見たかと質問された





私は身だしなみを整える手を止めて話に入る




「なんのテレビ?」




「ほら、今人気のイケメン俳優が出てたバラエティ番組」




「ああ。それなら家族みんなで見てたよ」




私がなんの番組かと聞くと

嬉しそうに体を前に乗り出し美玖が話をしたのでそれなら私も知っていると返した




「ああいう格好いい人って中々いないよね」




美玖が上を見ながら神を拝むような姿勢でため息を吐く




「確かに、でもうちの学校にも格好いい先輩いたよね」




私は学校でかっこいいと評判の先輩を思い出した

私も一度話したことがある




「あ〜菱方ひしかた先輩?」




「そうそう……彼女いるのかな」




私が冗談でそう言うと美玖はあからさまに落ち込んだ表情になり




「イケメンと付き合える世界線どこ〜」




と嘆きながら私に抱きついてきた




「あるなら私も知りたい」




二人で談笑していると次の止まるトコロで

降りなければいけなくなった




「はあ〜今日も学校だるい」



「ははは私もだよ、そろそろ降りよう」




私達が席を立ち出口まで歩いていると


自分の足が何かに引っかかった感覚があり、

そのまま体の重心がズレ、つまづいてしまった




足元を見ると老人の使う杖らしき物が

足首に引っかかっていた




「ちょっと、離してよ」




いつも使うバスなので目立ちたく無く、

私は少し控えめの声でその人に怒りをぶつけた


その人は私が押し退けて入った老人だった



老人は慌てた様子で何も言わず杖を退ける




〜まだ〜?」




美玖の私を呼ぶ声がしたので慌てて出口に向かう




「ごめん、つまづいちゃって」




「ううん、大丈夫!」




私と美玖はバスを出て学校までの下り坂を歩く




校門まで近づくとだんだん人も多くなり

周りも騒がしくなってくる




すると




「坂田〜」




私を呼ぶ声が聞こえてきた



後ろを振り返ると、今年初めて同じクラスになった


平井桃香が満面の笑みでこちらにかけてきていた




「平井さん。おはよう朝から元気だね」




「平井さん!おはよ。私はむし?」




「あ〜いやいやそんなわけじゃない!二人ともおはよう」




なんだか平和すぎて何か他に刺激が欲しくなる




まあいつも通りでいっか




私たちは3人で学校まで向かった

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