こちらから読んでも大丈夫です。私がそうだったから。

一般に、ラブコメの主人公は、恋愛に対して引っ込み思案な草食系の真面目な性格の人が多いですよね。女性向けの作品ならば、主人公の女性キャラにこのような性格づけがされ、男性向けの作品ならば、主人公の男性キャラにこのような性格づけがされるといった次第です。

それで本作品ですが、メインキャラの2人ともがこのような性格づけをされてます。つまり、この意味では、どちらも主人公属性を備えてます。これは珍しいと思います。

また、作品全体で一貫して女性の主人公の目線で書かれているところが、カクヨムで見かけるラブコメの中では珍しいと思います。

このような感じで、珍しい作品だなと思いながら読んでいたのですが、あるとき、この謎が解けました。男性の主人公の目線で書かれた本編が別にあって、本作品はこの本編の派生だったのがわかったのです。つまり、メインキャラのどちらも主人公だったというオチです。

ちなみに、本編のタイトルは「クラス1のモテ女子今村さんが俺だけに見せる素顔が可愛過ぎてマジやばい!」です。

本編の存在に気づいたのが遅かったせいで、後から本編を読むことになり、普通の読者とは読む順番が逆になってしまったのですが、それにも関わらず問題なく楽しめました。なぜかというと、どちらの作品も「出題編」であると同時に、もうひとつの作品の「謎解き編」でもあるという造りになっており、つまり、とちらから読んでも楽しめるように造られていたのですね。男性の主人公のほうがミステリアスなところがあるので、かえって、本作品から読むほうが面白いかもしれません(自己正当化)。こうするために、メインキャラの2人ともが主人公属性を持ち、かつヒロイン属性も持つという造りになったのだと推測しましたが、だとしたらこの目論見は面白いと思います。かなうならば、前半6話を男性の主人公の目線で、後半6話を女性の主人公の目線で描いた1クールのアニメにできたら面白そうだと思いました。

作者の逢坂こひる先生ですが、このような変わった切り口の新しい形のラブコメを模索するという計算高さが感じられる一方で、ヒロインたちとひたすらイチャイチャするだけのハイテンションな作品である「通学路で高嶺の花に告られて同棲することになって幼馴染に話したら、とんでもない事になってしまった件」も書かれていて、引き出しが広さが素晴らしいと思います。

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